【2024年2月】会社は一方的に残業時間を決められるか?!!

 

 

 

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中国統計局が最近発表した情報では、中国全労働者の週平均労働時間は48.9時間で、過去最長となっています(https://c.m.163.com/news/a/IM970PMT0543UFNZ.html)。しかし、企業様の支援を行う中で、企業清算やリストラなどの話を耳にすることが増え、経済成長が減速していると実感しています。一部企業では、業務量の変化が原因で、残業をめぐり、従業員とのトラブルが起きています。

 

これまでは長時間の残業が原因でトラブルが発生していましたが、最近では、業務量の減少に伴い、残業時間が減少し、従業員の収入に影響した(収入が減少した)という理由で、トラブルに至ることが増えています。高級裁判所は裁判事例を通じて、以下の考え方を明示しました。

 

2013年9月5日、従業員はセキュリティー担当として入社し、週6日、1日8時間の勤務時間を約定しました。ただし、実際の勤務時間は週5日、1日12時間でした。2019年、会社はセキュリティー業務を外注し、社内セキュリティー担当の勤務時間を毎週5日間、1日8時間に調整しました。従業員は「会社の残業時間調整は、自身の収入減少をもたらし、労働契約の解除を強制的に迫られた」と訴訟を提起し、経済補償金を求めました。

 

一審も二審も、従業員側の敗訴と判定され、高級裁判所まで告訴しました。三審とも以下のように事実を認定し、従業員の訴求を却下しました。

●会社と従業員の労働契約書では、週6日、1日8時間、労働する際の給与を定めている。今回の給与減少の理由は、標準給与が減少する訳ではなく、残業代が発生しなくなったからである。

●2019年までは、従業員の残業時間は、法定の36時間を大幅に超えており、会社は合法な水準に勤務時間を調整し、従業員のワークライフバランス実現に向けて、且つ違法行為を自ら是正し、法規定及び労働契約を遵守したものであった。

●セキュリティー業務の一部を、外部の専門業者に外注することは、会社の自由であり、違反しない。

●勤務時間が変更された後、労働契約で約定している基本給に変化はなく、残業時間の給与のみ減少した。従業員の収入は、勤務する時間や労働強度に相応しいものであり、従業員の権益を侵害していない。

 

景気が不安定な中、労務管理上さまざまなトラブルが起きるリスクが高まっています。特に、中国労働法規では、会社の違法行為が原因で従業員が労働契約を解除する際、会社が経済補償金を支払う義務が定められているので、労務管理上に瑕疵があると、従業員から訴訟を提起されやすいです。皆様の会社の労務管理制度に、どれほどのリスクが潜んでいるか、一度評価してみてはいかがでしょうか。