【2023年4月】従業員の退職の申し出は撤回できるか

 

 

 

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1 退職の申し出の撤回騒動

総経理に対して「会社がその方針なら、私は退職しますが、それでも良いのですか」と言って、様々な要求を通そうとする方がおります。時には激昂して本当に退職の申し出をしてくる方もおります。

ところが、その後「やはり退職するのを辞めた」と言って退職の申し出を撤回してくることがままあります。

本事例は退職の申し出を撤回できるかが争われた事例です。

2 事例

王は2015年1月12日にP社で働き始め、2018年に両者は2018年4月1日から2021年3月31日までの期間の雇用契約を更新しました。

2019年6月26日、王は会社が作成した「退社申請書」に記入し、「退社理由:親の介護のため」と記載しました。2019年6月27日に会社の関連部署の担当者が承認欄に署名し、2019年7月25日付けで退社することを承認しました。

ところが、2019年7月2日、王は突然、退職の申し出を撤回しました。

同社は王に「すでに離職手続きを本部で承認しているため、離職の事実を変更することはできません。」と返事をしました。

2019年7月17日、王は、労働契約の継続を求める労働仲裁を申請しましたが、王の申請は認められませんでした。これを不服として、王は訴訟を起こしました。

(1)第一審判決(会社敗訴)

第一審は、退職した労働者は30日の期間満了前に雇用契約の解除の意思を撤回することができると判断しました。

第一審は、中華人民共和国労働契約法第37条は、労働者が事前に使用者に書面で30日前に通知することにより労働契約を解除することができると規定しており、労働契約を一方的に解除する権利は労働者に帰属すると判断しました。

この規定から、労働者が契約解除の意思表示をしたからといって、直ちに雇用契約の解除という法律上の結果が生じるわけではなく、労働者がその通知に基づいて雇用契約を解除できるのは30日後であり、すなわち、30日の期間の到来前には雇用契約は解除されないものとなる。 したがって、この期間内に労働者が解除の意思表示を取り消し、雇用契約の解除継続を求めることができる。

(2)第二審判決(会社勝訴)

第二審は、雇用契約の終了には、合意による終了、労働者による一方的な終了、雇用主による一方的な終了の3種類があるとした。 雇用契約の終了が違法かどうかを評価するためには、そもそも雇用契約の終了がどのようなものであるかを判断する必要があると指摘しました。

王が記入した申請書から、王は、2019年6月26日に退職の申し出を行い、2019年7月25日に退職したが、これは中華人民共和国労働契約法第37条に規定する労働者が30日前に一方的に契約を解除する方法(労働者による一方的な終了)に属するため、使用者が同意をする必要はない。そのため、王は自ら為した退職の申し出を撤回することはできない。第一審は法令の適用を誤ったものである。

3 実務上の留意点

注意が必要なのはあらゆる退職の申し出は撤回ができないと判断しているわけではないということです。30日前に予告する必要がある中国労働契約法上の退職の申し出であったため、退職の申し出=退職成立となっただけであり、30日前に予告していない退職の申し出の場合は撤回できる可能性が十分あります。

ではどうしたらよいかというと、退職の申し出を受理した場合は、速やかに受理した旨通知し、退職することと退職時期を承諾することを通知する必要があります。このやりとりをすれば、退職する従業員と会社で退職合意が成立したということになり、撤回ができなくなるということになります。問題がある従業員から退職の申し出があった場合、電光石火のスピードで退職の承諾をしていただければと思います。

 

案号:(2021)川民申393号(当事者仮名)