【2023年1月】退職証明書には退職理由を書くことができるか

 

 

 

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1 退職証明書を実務上どう使うか

中国においても、従業員が会社を退職した際に退職証明書を出すことがありますが、その退職証明書に離職理由を書くことは違法かが争われた事例がありました。

これが適法になると問題がある従業員を退職させる場合に「解雇をした場合は、退職証明書に今回の解雇の理由を書くことになります。おそらく再就職に影響が出るかもしれません。そうならないようにお互い話し合いで解決しませんか」と話すことができます。

実は、形は様々ですが、これは世界上で行われていることです。「今回、会社があなたを解雇して紛争になれば、次の就職先候補からのあなたについての問い合わせにうまく答えることができなくなるかもしれません。お互いのためにも話し合いで解決しませんか」と話すことが実務上多いのです。

 

2 事例

王は2008年7月14日に広州の某会社に入社し、2016年3月30日、会社は王との労働契約を解除しました。同社は2016年4月8日に退職証明書を王に提出しましたが、その第2条は労働契約を解除した原因として①雇用先の規則に著しく違反したこと②労働者の能力が劣ることの2つの理由が書かれていました。

王は「この退職証明書は私の就職に深刻な影響を与えており、会社は内容を変えて退職証明書を再発行しなければならない」と考え、2018年1月19日に労働仲裁の申立を行い、会社に退職証明書第2条を削除し、退職証明書を新たに作成するように求めました。

 

一審も二審とも(広州市中級人民法院(2018)粤01民终17016号)、法律(「中華人民共和国労働契約法施行条例」第二十四条)は「労働契約期間、解除または終止した契約の日付、職場、当職場での勤務年限」を離職証明書に書くことを求めていますが、離職証明書に退職原因を書くことを禁止していないため、会社は再発行する必要がないと判断し、王の請求は退けられました。

 

3 実務上の対応

会社が離職証明書に書いた退職や解雇理由が事実に反することはもちろんいけませんし、再発行すべきですが、会社が書いた解除原因が客観的で事実であれば、法律規定にも違反しません。日本だと個人情報の保護やプライバシーに非常に敏感なので、この種の問題はかなり大きく取り上げられそうですが、この点中国は大らかでして、今のところは離職理由を記載しても良いと判断される可能性があります。

ご参考になれば幸いです。