【2017年2月】貴社の従業員社会保険は追加納付のリスクがあるか?

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 中国において「社会保険」という概念は1990年以降に誕生しました。それまで、「社会保険」という概念はほぼ「企業保険」と統一されていました。計画経済時代、国民の各種保険はすべて企業が直接負担していたため、多くの企業が負担に押しつぶされました。そこで企業の負担を軽減するため、1992年から10年かけ、社会保険に関する法律を整備し、運用を始めました。


急速に制度が導入されたため、加入率や運用方法などについてさまざまな課題が残っているものの、北京、上海などの都市部では、すでに定着し、安定的に運用されています。近年、高い社会保険料の会社負担納付率で、企業負担が重くなり、経済成長を阻害しているとの見解が強く、各地で社会保険料の納付率の引き下げを実施しています。例えば、上海は2016年に社会保険料の会社負担分を2.5%引き下げました。


納付率を下げても、社会保険の収入は確保しなければなりません。このため、社会保険局による未納付行為に対する取り締まりが厳しくなり、毎年社会保険監査を強化しています。会社が毎年申告する従業員の社会保険金納付基数が、法定基準より低いことで、高額の追加納付を要求される会社が少なくありません。


一部中国民間企業は、社会保険料の負担から逃れるため、従業員賃金の一部だけを労働契約に明記し、残りの部分を手当の名義で支給したり、現金で支給したりしています。或いは、実際の従業員賃金より、低い金額で基数申告している会社が多数あります。このため、社会保険監査で最も厳しくチェックされるのは、基数の計算方法です。中国の法律では、社会保険基数は「給与総額」とし、主に以下のものが含まれると規定しています。

●個人所得税及び個人負担部分の社会保険料、住宅積立金。

●月次賞与、年間賞与。

●経費科目や用途に関係なく、基本給、役職給、職務給などのすべての手当(月例給与)。

●残業代、定期定額に支給される交通費、食事代、住宅手当。ただし、実際使用した住居を精算する住宅手当、出張経費は含まない。

●補充社会保険金の個人負担部分。


上記項目が社会保険基数に含まれていないと、社会保険局から指摘され、追加納付を命じられます。追加納付命令は原則的に1年間とし、その前年以前について、社会保険局から直接追及されることはありませんが、社会保険局のブラックリストに載り、翌年も社会保険監査される可能性が高くなります。
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