【2020年10月】インフルエンサ-起用時の会計・税務処理について

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中国のインターネットにおいて「網紅」という言葉を耳にされたことがあると思います。TikTok(抖音)やRED(小紅書)などのSNSサイトにて活動を行い、多数のフォロワーがいる人物のことで、日本語ではインフルエンサー(またはKOLKey Opinion Leader)と呼ばれます。

インフルエンサーはもともとTikTok等のプラットホームにて、美容やグルメ等の分野で動画や写真をアップロードすることでフォロワーを集めておりましたが、企業にその影響力を注目され、企業が販売したい商品を使用してもらうことで、消費者の購買意欲を呼び起こすという役割も担っています。昨今、中国においてインフルエンサーを活用する会社様も多くおられますので、今回はそんなインフルエンサー起用に関わる会計・税務処理について紹介したいと思います。

 

1.販売会社側がインフルエンサーに報酬を支払う際の会計・税務処理

前提:販売会社が、インフルエンサーに依頼し、TikTok等のプラットホームにて自社商品を使用してもらい、報酬を支払う

①インフルエンサーがマネジメント会社(あるいは代理会社)と契約している場合

→会社対会社の契約となるため、マネジメント会社は増値税発票を発行。販売会社側は発票や契約書の内容により、広告宣伝費、業務宣伝費等で計上します。

②インフルエンサーがマネジメント会社(あるいは代理会社)と契約していない場合

→会社対個人の契約となります。フォロワー数の多いインフルエンサーが個人事務所(中国語:個体戸)を開設している場合も含め、インフルエンサー側が税務機関にて増値税発票を代理発行してもらいます。発行に際し取引の根拠資料となる契約書等が必要となり、加えてインフルエンサー側に増値税、附加税、個人所得税を納付する義務が発生します。なお、販売会社は発票に基づき、労務費、業務委託費等で計上します。

 

2.インフルエンサーの個人所得税について 

①インフルエンサーがマネジメント会社(あるいは代理会社)と契約している場合

インフルエンサーとマネジメント会社の契約形態(労務契約or労働契約)により異なります。

a.労務契約を締結している場合

→マネジメント会社は「労務報酬所得」として、インフルエンサーの個人所得税を源泉徴収。

b.労働契約(雇用契約)を締結している場合

→マネジメント会社は「賃金給与所得」として、インフルエンサーの個人所得税を源泉徴収。

 

②インフルエンサーがマネジメント会社(あるいは代理会社)と契約していない場合

a.個人事務所(中国語:個体戸)を開設している場合

→インフルエンサー個人事務所と販売会社がサービス契約を締結。個人事務所は「経営所得」として、個人所得税を申告・納税する。

b.個人事務所を開設していない場合

 

→インフルエンサーと販売会社が労務契約を締結。インフルエンサーは「労務報酬所得」として個人所得税を申告・納税する。