【2015年12月】営業組織を革新する「歩合制」導入の障害

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今回は「歩合制」についてです。

この国には極めて高い業績を叩き出す優秀な営業マンがたくさんいます。ただし日系企業には残念ながら、多く在籍していません。新常態以前の中国では、内販と言ったって、中国国内の日系企業がメインのお客様だったりしたので、日本人が営業すればよかった。でもこれからは違います。中国人に売らなければならない。中国企業に売らなければ生き残れない時代が到来しました。

これが日本人には非常に難しい。日本式の営業スタイルでは数字は伸びません。そこで中国人営業部長を選任して、マネジメントを任せることになるのですが、営業のやり方が相変わらず日本本社主導だったり、日本人総経理の細かいチェックのもと従来のやり方を踏襲していたりと、営業部長にストレスの溜まることばかりやっているという会社も多いようです。

営業方式が日中でどう違うか、という話はまた別のテーマになりますが、営業マンのモティベーションを高めるため「業績に応じた報酬を出す」という制度のなかで、究極にシンプルなものが「歩合制」と言われるものでしょう。日本企業だと、不動産会社、自動車販売会社、訪販会社などが採用しているケースが多いですね。

一般のメーカーや商社では、部門によって売るものが違う、売り方が違う、営業期間が違う、ブランドの浸透度や影響力が違う等々の差が大きすぎて(と、経営者が思っていて)、歩合制までは踏み込めない、せいぜい目標管理による業績評価制度くらいしか採用できていないというところが実態でしょう。でも中国人は、特に営業能力のある中国人は歩合制が大好きです。だからそういう実力のある優秀な人材は、ローカル企業や日系以外の外資に行ってしまいます。

しかし良く考えてみてください。これが外部の代理店だったら、販売額や利益額に応じたコミッションを払わないなんて契約はありえないですよね。自社の技術部門が協力したからコミッションを減らす、なんてこともしませんよね。そして万が一、クレームなどを出した際には自社の責任として事態収拾した上で、代理店に明らかな落ち度があれば賠償させますよね。同じなのです、販売という仕事の基本構造は。

歩合制導入に踏み出せない企業の問題は、「社員の独立性を認めていない」ということに尽きます。社員を子供扱いし、ともに事業を推進するパートナーとして認めていない。だから「その数字は、君の実力ではなく会社に依存して実現したものだ」と言いたがります。それはその通りなのですが、売れないより売れたほうが良くないですか?

ちなみに、「歩合制の設計をして欲しい」という依頼が私どものチームにも時々来ますが、「でも社員に独立されるのは困る」というおまけが付いていることがあります。歩合制で最高の業績を上げられる営業社員は、ほとんどの場合、個人的に販売構造を構築しています。こういう人は御社を辞めても競合品を売れば儲けられますし、引き抜きにも遭いやすい。でもこれまで慣れ親しんできた自社品のほうが本当は売りやすいということも言えます。是非、人材目線でどういう道を提供していくべきかを考えたいですね!