2015.12.01
営業企画部 片瀬陽平
コラム第10回目
前回のコラムではM&Aについて執筆いたしましたので、本日はそれに紐付きM&Aの成功事例を少し紹介しようと思います。
近年では日本の高齢化社会の影響か事業承継型のM&Aが増えてきております。事業再生型のM&Aについては国内・国外においても引き続き件数は多く、特に中国では事業再生型のM&Aが今後増えることが予想されます。M&Aは最終手段ではなく、経営戦略の1つと捉えて頂き、事業承継や再生の際には予め検討することが必要です。
【事例1:事業承継型M&A/売手サイド】
輸入車販売業(年商20億円)のM&A。過去の過大投資による有利子負債の増大に加え、本業の業績不振に苦しんでおり、金融機関からの支援を受けて再生した会社。代表者が高齢者となり後継者もいないことから、同一地域の競合他社へ株式譲渡を行いました。買手が同一地域内での商品力強化による相乗効果を期待し、純資産価額以上の価格での取引となり、代表者への退職金の支給、金融機関借入金を含む営業債務の全額引き受けが実施され、代表者にとってハッピーリタイヤメントとなりました。
【事例2:事業再生型M&A/売手サイド】
製造業(年商10億円)のM&A。業績不振の一因でもあった中国子会社を取引先でもあった中国企業へ出資持分を譲渡しました。その後、日本本社も法的手続きに入り、同じ中国企業がスポンサーとして名乗り出て、日本法人を設立し、事業譲渡を実行しました。中国子会社の出資持分譲渡を入札型で行い、日本本社事業についても法的手続下での事業譲渡という形式を採用したため、主要債権者である金融機関の同意を得やすく、公明正大に事業移管を行うことができました。通常中国からの事業撤退には多額の費用負担(納税や従業員の経済補償金)が生じますが、それらを回避でき、雇用の維持も図れました。
【事例3:事業再生型M&A/買手サイド】
総合建設業(年商90億円)に金融機関から持ち込まれた企業再生型M&A。
売手企業は、近隣地区にある同業の老舗(年商15億円)。過去の過大投資により大幅債務超過がありましたが、本業の業績は堅調でした。売手企業を優良事業とそれ以外に切り分け、優良事業のみを買手サイドが準備した受皿会社に吸収分割することにより、事業の引き受けを行いました。買手サイドは近隣地域への事業基盤の拡大と老舗の看板を取得。未完成物件の継続と工事未払金を引き継ぐことで施主や協力業者に迷惑をかけることなく事業を承継することができました。