[2014年8月号] 管理職の残業手当

クイック ロゴ.png                         

 

                               クイック201407.png

 

 日本では、管理職には残業手当が付かないことが認められていますが、中国でも同じように扱う事が認められるでしょうか。
 この事に関する判例をご紹介したいと思います。


≪事件の概要≫
 呂さんは、2013年4月にA電機有限公司に生産技術部主管として入社し、2013年5月29日に退職しました。4月、5月の平日残業時間は計24.5時間、休日残業時間は計48時間でした。
 呂さんは、離職の際に会社に対して未払いの残業手当の支払いを求めて仲裁に訴えました。
 これに対して、会社側は呂さんとは残業手当を支払わない旨の合意があり、会社の慣習としても高級管理職には残業手当が発生しないことになっていると主張しました。
 

≪仲裁判決≫
  A電機有限公司は、未払いの残業手当を支払わなければならない。

  争点:管理職の残業手当を支払わないことが認められるか?

  判断:残業手当について、『労働法』第44条の中で、法定の割増賃金を支払う事が義務付けられて
    おり、理職においても適用される。
    ①平日残業の場合は賃金の150%
    ②休日残業の場合は賃金の200%
    ③法定休日残業の場合は賃金の300%

 

≪解  説≫
 中国では、管理職に対して残業手当を支払わない事が認められる規定は存在しません。従って、管理職であっても残業代を支払う義務があります。たとえ、就業規則や労働契約書で管理職には残業手当を支払わないと規定したとしても、有効にはなりません。
 この場合、不定時労働時間制を採用することで、残業手当を支払わないことが認められています。ただし、この制度は事前に主管部門の許可が必要になりますので、労働契約書や会社の就業規則で規定するだけでは採用する事ができませんのでご注意下さい。
 なお、北京市では、高級管理職に限り、主管部門の許可は必要なく、就業規則等で規定することで実施する事が可能です。