間接雇用の制限による直接雇用の増加や政府部門からの積極的な工会設立要求もあり、
今まで工会を持たなかった企業も工会を設立する必要性が高まっています。
そこで、今回は工会の役割について確認したいと思います。
《設立要件》
会社設立後上海は6ヵ月以内(江蘇省は1年以内)に工会を設立する事。
○組合員が25名以上の場合、基層工会委員会を設立しなければならない。
○組合員が25名未満の場合、基層工会委員会を設立することが出来る。
※基層工会委員会とは、工会の運営組織で、工会主席や工会委員などで構成されます。
《工会の権利と職責》
○労働者を代表して、企業と集団契約の締結
○労働者に関する法律法規の遵守状況の監督
○労働者に対する権利侵害についての調査権
○死亡事故や重大な健康被害の問題調査への参加
○技術学習や労働者の養成訓練
○文芸・娯楽及びスポーツ活動の展開
《企業側の責任》
○全従業員賃金総額の2%を工会経費負担
○賃金、福利、労働安全衛生、社会保険などの労働者の切実な問題を討議する際の意見聴取義務
○リストラを行う際に、30日前までに状況説明義務
○労働者と一方的に労働契約を解除する場合の事前通知義務
○工会活動に必要な施設及び活動場所等の提供義務
日本と同様中国でも、労働者が工会を設立する動きを妨害する事は法律上禁止されています。
また、日本と違い工会の経費を企業が負担する事を義務付けており、
本人が希望すれば総経理(日本人も含む)も工会に加入することができます。
その他、工会は企業の経営に一定程度関わる事が認められますので、労使関係を円滑に処理するために、従業員の人望があつく、日本側の事情にも理解がある者に就いてもらうなど、工会委員の選択には工夫をする必要があります。
また、工会がある場合、労働者と一方的に労働契約を解除する際に工会への事前通知を怠ると、解雇が認められないというリスクがありますので、ご注意下さい。