毎年この時期になると頭を悩ます原因の1つが、人事評価やボーナスまた来年度の昇給に関してではないでしょうか。ちょうどここ数週間のうちに、各所から給与に関する統計やガイドラインのニュースが相次いで発表されましたので、それらをまとめてご報告します。
各ニュースを総合して、「全中国での状況」「上海市全体の状況」「上海市・外資系企業での状況」を以下一覧表にまとめてみました。
昇給率調査
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2008年
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2009年
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2010年予想
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全中国調査
サンプル:500社
(A社調査)
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5%
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7%
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全上海市調査
サンプル:300社
(B社調査)
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非製造業 11.2%
製造業 10.1%
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非製造業 5.2%
製造業 5.4%
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7%
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医薬業界 8.9%
医療機器 9.1%
物流業界 1.7%
ハイテク 2.4%
自動車 3.3%
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上海市・外資系調査
サンプル:450社
(C社調査)
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7.4%
貿易業 6.7%
製造業 7.2%
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ハイテク 10.0%
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日系 7.9%
欧米系 7.3%
ハイテク 7.5%
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非管理職 7.1%
管理職 7.7%
高級管理 7.5%
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2009年度に関しては、「上海市・外資系」の高さが際立っているように見えます。しかし、この数値には注意が必要です。というのも、中国の旧国営系企業では昇給率データには表出してこない要素が存在しているからです。旧国営系企業の表面上の「給与」は安く見えますが、福利待遇の手厚さは外資系を遥かに凌駕していることも少なくありません。例えば、国営企業に勤務していた従業員の養老年金は、社会保険から拠出される養老年金に加えて、その1.5倍もの企業年金が別途で支給されていることもあります。また、給与も現金だけではなく、各種現物支給など金額には出てこない手厚い福利待遇が存在していることも考慮するべきではないでしょうか。
また、外資系企業にある「非管理職」~「高級管理職」までの昇給率も大差なく見えます。しかし、この背景には「非管理職」と「高級管理職」間に存在する日本とは比較にならない「給与格差」が存在していることも忘れてはなりません。1,000元の7%は70元ですが、20,000元の7%は1,400元です。同じ7%の昇給でも高級層の7%とは、低層の1.4ヶ月分の給与が「昇給額」となります。
会社が意図的に「上に手厚く下に薄い処遇」としているのであれば、問題ありませんが、「世間が7%だから従業員も[全員]納得するだろう」という考えは禁物です。