[2009年5月号]「困難企業」に対する助成策(上海市)

「100年に一度」と言われる、世界的な不況に見舞われている環境下ではありますが、ここ上海市でも明るいニュースが聞こえてくるようになりました。低価格~中価格自動車の販売増、パソコン関連業界の受注復活、公共事業投資による建機業界の活気などがその代表格となっています。弊社とお取引いただいている中国系企業様でも「2008年度は過去最高益」となっており、全く不況を感じさせません。一方、まだまだ厳しい状況が続いているというニュースも同時に見受けられます。先日も上海市の中国系某有名電機大手が債務超過に陥ったという報道がありました。上海市から10億元以上の支援を受けて再建をはかるようです。

このような状況の中、中国では国家を挙げての「経済成長促進策」と「雇用安定策」が次々に打ち出されています。2009年3月31日には、上海市政府から「金融危機」の影響を受けている「困難企業」に対する救済措置が発表されました。主として製造業を対象とした助成策と思われますが、一定の認可を得た企業に対する特別な助成・救済が行なわれる内容になっています。
【【認定条件】
1~5全てを満たす場合は「困難企業」として、+6を満たせば「特殊・困難企業」として認定。
1.金融危機の影響を強く受け、生産・経営に段階的・一時的に困難な状況が発生している場合
2.企業が、工会あるいは従業員代表大会との協議を経て、人員削減をしない就業安定策、ある いは減給措置を講じた結果、直近3ヶ月の平均給与水準が上海市前年度平均月額賃金の50% 未満の水準となっている場合
3.多くの従業員を雇用しながらも、なおリストラ(人員削減)を行わない場合
4.上海市の産業発展計画と省エネ・環境保護の要求を満たしている場合
5.上海市の社会保険(失業保険)に加入し、かつ納付義務を履行している場合
6.「困難な状況」が一時的であり、回復の可能性が認められ、かつ地域・業界での影響が大きく、多くの従業員を抱えて就業の安定に貢献している中小企

これらの条件を満たした場合、政府より以下のような救済が行なわれます。
[【助成・救済内容】
1.「年間を周期」とした「総合労働時間制」の導入
2.休業措置、労働時間短縮の期間中に職業訓練を施す場合、関連規定に定める範囲の教育助成金を支給
3.社会保険のうち、医療・失業・労災の3保険を3ヶ月~最長6ヶ月の滞納を許可
4.一定の条件に合致する場合に、使途不問の「助成金」を該当人数分×3~6ヶ月間付与
 ※ 4.は「特殊・困難企業」のみ。ただし、3.4.の同時適用は不可とする
 
救済策としては、1.の「年間を周期とした総合労働時間制」が助成策として大きなメリットになると思われます。これは、年間の「稼働日×8時間」という「総労働時間」に対して超過した労働時間分のみ「残業」として扱う事のできる制度です。例えば、3ヶ月程度の完全操業停止となった後に受注が復活して連日のフル操業となった場合でも、完全停止期間の3ヶ月分の労働時間も活かすことのでき、しかも残業手当の支給は年1回で済みます。「固定費=人件費削減」の方法は「解雇」という方法だけではありません。段階に応じて「使い分ける」という選択肢も存在していることを知っておいて下さい。