[2009年3月号]上海市での「人員削減」には、4つの申告資料

昨今の経済情勢の悪化を受け、弊社でも「時短」「リストラ」「撤退」に伴う人員整理のご相談が目だってきています。そういった環境を受け、上海市人力資源社会保障局(旧・労働局)から「人員削減(リストラ)」実施時の必要手続きに関する「通知」が発布されました。今回はその概要をお知らせします。

まず、「人員削減(リストラ)」を行なう際には、労働契約法 第41条で、以下のような条件が
定められています。
■ 「労働契約法」第41条
条件1: 20人以上の人員削減をする場合
     あるいは、
条件2: 削減人数が20人未満だが、全従業員の10%以上の人員削減が必要な場合
方 法: 企業は(人員削減実施の)30日前までに、
   ◎ 労働組合もしくは全従業員に状況を説明し、
   ◎ 彼らの意見を聴取した上で、
   ◎ 人員削減方案を労働行政部門に報告する
 
今回、上海市で発表された「通知」は、これら「労働契約法」に定めた条件・方法を実施したことを「証明する資料の提出」を行なうように求めたものと言えます。その4つの申告資料は、以下のように定められています。
(1)「企業営業許可書」(副本)と「労働組合法人資格証書」
  また、労働組合を設立していない企業は、
   [全従業員]が署名し選挙した、[従業員代表]の証明材料。
(2)労働組合代表、もしくは、従業員代表の個人資料。
   氏名、身分証明書番号、職位職務、労働契約書期限 などを含むもの。
(3)企業が作成した書面による人員削減案。
   企業の人員削減人数、削減人数が総従業員人数に占める比率、削減人員名簿(氏名、
   身分証明書番号、労働契約書期限)、経済補償金の準備状況と、救済措置を取るかどうか
   の状況説明 などを含むもの。
(4)企業が、労働組合もしくは従業員に状況を説明し、意見を聴取した資料。
   人員削減を実施する理由、労働組合もしくは従業員に状況を説明した日付と方法、
   労働組合もしくは従業員の意見を求めた状況。
 
また、これらの資料の提出先も、出資形態・会社の所在地区によって以下のように規定されています。
(1)人員削減を実施する企業が、上海市所属の国有企業、持株会社、登録資本金が1000万USドル(相当金額)以上の外資企業、在上海の中央政府直属企業の場合、[上海市人力資源社会保障局]へ報告し、記録される。
(2)人員削減を実施する企業が各区県行政区域内で(1)の上海市労働行政部門の受理範囲以外の企業に属する場合、[各区県の労働行政部門]へ報告し記録される。
(3)人員削減を実施する企業が浦東新区行政区域内で上海の中央政府直属企業以外の企業[浦東新区の労働行政部門]へ報告し記録される。
 
「人員削減」に関しては上海市の労働行政部門もナーバスになっていますが、「法律を守る」スタンスであれば非協力的な態度にはならないようです。実施の前には上記の所轄当局へ事前に相談しておくことをおすすめします。