弊社で、2005年以降毎年実施している、「日系企業給与調査」の集計がようやく完了しました。今回は、過去最大規模の204社・14,744名様分の現地法人中国人スタッフの給与「ナマ」データをご提供いただく事ができました。
この場をお借りして、ご協力いただいたお客様に厚く御礼申し上げます。
さて、今年の給与調査では、お客様のご要望にお応えして「2009年度の昇給率[予定]」のアンケート調査も実施しました。204社様のうち184社様から有効回答をいただきました(有効回答率90.2%)。今回は、その結果とご利用上の注意点をお知らせします。
● 在上海・江蘇省 日系企業の2009年昇給率(予定)平均・・・9.90%
同時に行った「2008年度の昇給率[実績]」アンケート調査(有効回答数183社:有効回答率89.7%)では、平均10.90%という結果でしたので、やはり昨年よりは低い伸び率となっていました。
また、9月に発表があった某中国系派遣会社が行った調査でも、「9.9%」と奇しくも同じ数値となっています。
ただ、調査を行った時期が、弊社は10月~11月。前述の某中国系派遣会社が9月になっていますので、昨今の金融危機の影響が本格化する前の調査であることをお断りしておきます。
「昇給率9.90%」をどのように使うか?は、注意が必要です。
中国は、日本とは違い「労働契約制」の社会であり、「新卒採用」が一般的に行われている社会ではありません。つまり、日本のような「モデル賃金」が設定できない市場とも言えます。また、日本人からは想像つかない「格差社会」でもあります。上海市だけでも月給(日本円で)1万円強という人から、駐在員顔負けの月給を得ている人までが共存しています。弊社の調査(日系企業だけの調査)でも、職種・役職が同じ階層内で「10倍以上」の給与格差は珍しくありません。
ちなみに、日本では大卒1年目の新卒と社長の給与格差平均は、約15倍と言われています。中国の格差社会が日本の比ではない事をお感じいただけましたでしょうか。
この格差社会で、何をもって「平均昇給率」とするかは充分な検討が必要と言えます。
「昇給」「給与決定」の場面は、どんな「言葉」よりも明確な「会社からのメッセージ」「会社の意志」が従業員に伝わる場面とも言えます。
「何をすれば自分の評価が上がるのか?」「何をすれば自分の給与が上がるのか?」の回答が「世間の一般的な昇給率」と伝わってしまえば、従業員は「頑張っても、適当にやっていても、同じ。だったら、適当にやれば良い」と思ってしまうかも知れません。少なくとも、「来年も頑張って、世間一般的な昇給をしてもらおう!」・・・などとは、誰も考えないのではないでしょうか。これは、中国人であっても日本人であっても同じと言えるのではないでしょうか。
「給与の決定」は、中国語が話せなくても、明確に日本人経営者のメッセージが「伝わる」場面です。厳しい市場環境が予想される来年度(2009年度)こそ、今まで以上の「従業員の頑張り」が必要となります。金額も重要ではありますが、そこに「どのようなメッセージを乗せるのか?」によって1年後の結果は全く違ったものになるかもしれません。
自社給与水準の「現状を認識」するためのツールとして、204社、約15,000人の給与「ナマ」データを集計した、クイックマイツの「給与調査報告書2009」がお役に立てると思います。
『給与調査報告書2009』に関しては、下記までお気軽にお問い合わせ下さい。