[2008年7月号]35度を超える高温時の対処法








 

早いもので、2008年も半分が過ぎる頃となりました。

この季節になると、電力不足による稼働時間調整が話題となります。また、加えて2高温手当(屋外業務で35℃以上、室内業務で33℃以上になった場合、手当として10元/日の支給)の給付が
2007年の通知で義務付けられ、話題となりました。
また、2008年も5月末に以下のようなニュースが流れ、高温時の対応が話題となっています。
 

    ニュース(5/29:東方早報)

上海市の電力は、おおむねバランスが取れる状況とはなっているが、依然として時間帯によって電力不足が発生し、一部の地区では深刻な問題に直面しそうだ。本年も継続的に一部企業に対してピーク時の電力使用を避けるよう措置をとるとともに、室内温度への規制を強め、スーツ・ネクタイを着用しないことを促している。また、7月7日~8月22日までの間は、市内の全工場に対し、夏期休暇を設けるよう促すとともに、気温が35℃以上になった際には、屋外作業を一時中止するよう呼びかけている。(筆者により一部抜粋)
 
このニュースで話題とされたのが、「作業一時中断」した場合の処置です。
2005年・2007年に出された通知では、35℃で労働時間の調整が可能、38℃で労働を中止、とされています。これが上記ニュースでは35℃で「作業中止」を求められる事になっています。この通知の解釈として「中止時には、出勤時間を調整できる」という運用が可能とされています。
では、前後に調整した労働時間は、時間外手当の対象とはならないのか?
また、従業員に強制することができるのか?といった点が気になるところです。
 
結論から言えば、屋外作業を中止し当日の中止時間分の労働時間を後ろ倒し(終業時間以降に調整)にしたとしても時間外手当の対象とせずに、就労することを強制することもできます。
 
ただし、2点ほど注意すべき点があります。
 
(注意点1)各自の労働契約書・集団契約書には、詳細な勤務時間を明記しておらず、就業規則に明記がなされている事。
⇒労働契約書に記載がある場合は、各自との協議して一致することが必要となってしまいます。ただし、就業規則に定めている範囲であれば、労働局は「合理的措置とみなす」という判断になるとの事でした。
 
(注意点2)中止時間(=休憩時間)分をその日の内に消化させ、1日の労働時間を8時間以内
とする事。
⇒例えば、当日の労働時間を翌日に調整した上に通常の終了時間まで就労させると、その日の労働時間が8時間を上回ってしまいます。この場合、総合労働時間制でなければ完全に合法と安心することはできません。
 
このように、上記2点をクリアしている状況であれば、弁護士・労働局ともに「時間外としなくても問題ない」との共通した回答を得ています。
もちろん、従業員が不服を唱えてしまった場合は、労働仲裁での判断となってしまいます。ただし、少なくとも労働局による「労働監査」では合理的とみなすとの回答を得ています(※労働監査・・・主に密告などによる労働局からの抜き打ち労働環境監査)。
 
また、高温中に「作業を中止させる」事は義務ではありません。あくまでも推奨事項とされていますが、熱中症などの事故があった場合は、会社の責任とされますのでご注意下さい。
 
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