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2021年5月、中国共産党政治局は、「1組の夫婦に3人目の子供の生育を容認する政策、及びそれを支援する措置の導入」を発表しました。1978年から国是として運用してきた「一人っ子政策」の根本的な改革が予想されています。
実は、「一人っ子政策」の改革は10年前の2011年から、すでに始まっていました。当時、両親ともに一人っ子の場合、2人目の子供を生育していいとの条件付きで改革を始めました。ただし、総人口の減少はなかなか止まりませんでした。例えば、上海人口出生率は、2010年から以下のように推移しています。
(上表でわかるように、「2人目の子供の生育を容認する政策」が導入された後、短期間で人口出生率が増加しますが、その効果は長続きしませんでした。10年間と比較しても、上海の人口出生率が変わらなかったのです。他の省や市のデータを見てもほぼ同じ傾向が見えます。10年前より人口出生率が2%ほど減少する省もかなりあります。
人口の減少傾向を逆転するために、今回政府は「より多くの子供を生育していい」との政策を打ち出し、同時に、生育を促進するための支援策も検討し始めました。現時点で発表された法律や意見では、以下のものがあります。
1. 法律で定める人数を超えて生育する場合の各種罰金、ペナルティーの廃止
2. 条件を備える会社に、託児サービスの提供を勧誘
3. 産休や授乳休憩を改善すると同時に、夫婦両方の育児休暇を導入
4. 個人所得税法を改定し、3歳以下子供の育児費用を、特別控除項目とする
5. 学校の終わる時間を、夫婦の退勤時間に合わせる
6. 会社と従業員に協議させ、仕事と生活(育児)が両立できる勤務・休暇制度を適用
7. 一部地方政府は、2人目以上の子供出産に対し、数万元の支援を支給
上記の中、会社の運営と最も関係するのは、3番と5番だと考えられます。特に、3番については、西ヨーロッパのように、男女ともに長期間の育児休暇を与える制度が、今後導入される可能性も考えられます。特に、現在中国政府は「教育資源の平均化」、「子供負担の減少」、「住宅価格のコントロール」など、家庭負担を軽減する対策に力を入れています。出生率が高くなると、育児休暇を含み、各種生育支援制度が急速に導入される可能性が高いと考えます。