どの会社でも、従業員の離職申請を処理したことがあると思います。中国「労働契約法」第37条では、「労働者が30日前に書面をもって会社を通知した場合、労働契約を解除できる」と明確に定めています。ほとんどの会社が法定方法に従い処理し、トラブルもあまり発生していません。
ただし、法律はすべての状況をカバーすることができません。従業員の離職申請について、以下のような特別状況が考えられます。
?周辺同僚や業務環境に悪影響を与える可能性があり、離職申請後、できるだけ早く離職してほしい。
?出勤しなくても、給与や社会保険等を享受したいため、国慶節や春節など、従業員が長期休暇の末尾を離職日として申請する。
以上の特別な状況が発生した場合、従業員が離職申請してから30日間未満で会社から離職を要請することは、法律に違反するでしょうか。2016年の広州市中級裁判所の判例を紹介させていただきます。
ある従業員は下記理由で、会社の違法解雇を理由とし、6,000元の経済弁償を訴求しました。
1.私は6月24日に離職申請書を提出し、離職日は2016年7月31日と明記しました。このため、早くても、離職日は7月23日のはずで、それまでは労働の権利と給与をもらう権利を持っています。
2.会社は私と協議せず、引継ぎ業務が完了したことを理由に離職を要求し、私の労働の権利と給与をもらう権利を侵害しました。
3.労働者と会社が協議一致する場合を除き、会社は「労働契約法」第37条で定める30日の離職通知期間を順守しなければなりません。
上記従業員の訴求に対し、中級裁判所は、「離職30日前に書面をもって申請する」ことは、従業員が労働契約を解除する権利を行使するときのプロセスとして定め、会社が従業員の離職によって、欠員を補充するための時間を確保することが目的としています。法律では、「会社が離職申請を受理してから30日間後に離職できる」と規定していないと、従業員の訴求を却下しました。
この判例から、法律は会社の権益を保証するために、従業員の30日前の離職申請義務を定めていると分かります。ただし、離職申請が出された後、会社が任意で離職日を設定すると、トラブルが発生しやすくなると考えられます。労働契約や就業規則などに以下の対策を明記し、事前に講じることで、トラブルを回避し、会社の権益を守ってはいかがでしょうか。
1.原則として、従業員が離職申請提出日の30日後に離職させます。
2.労働契約や就業規則に、「従業員が離職申請を提出した後、会社が業務遂行の必要を考慮し、離職日を設定することができる」との旨を定めます。
3.従業員が離職申請を提出した場合、「同意」と簡単に返事するではなく、会社側が離職日を設定してから、従業員と協議し、合意させます。