[2014年9月号] 服務期間契約 ~海外研修の問題点~

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  今年は日本で暑さ対策グッズを購入していたのですが、上海は冷夏でほっとしています。しかし油断大敵です。わたしも職業柄、気温だけではなく、人事労務にも油断せず注視しながら、皆さまに情報を提供させていただきます。


 そこで今回は、皆さまからお声がありました中国社員の日本研修時の問題点について取り上げます。

〇日本の会社の雰囲気や仕事方法を知ってもらうため従業員を日本で研修させたいが、中国人従業員は

  流動性が高く、せっかく費用をかけて研修してもやめてしまう。
〇日本本社から「○○さんを日本で研修してはどうか?良い人材だと思うのだが…」と言われました
  が、〇〇さんが辞めたら結局こちらが責められるでしょう。日本側はこちらの事情をまったく
 
わかって いないから困るよ。

 

 確かに日本本社での研修は費用対効果の面においても問題があるでしょうし、退職されてしまっては水の泡と化してしまいます。そこでよく質問受けるのが退職時の違約金です。
 中国労働法上、違約金の定めが認められているのは①服務期間契約②競業避止義務の2種類となります。今回は服務期間契約のご説明をいたします。
 企業が専門研修費用を提供し、専門技術の研修を実施した場合、当該労働者と服務期間を約定することができる。
 服務期間…企業が一定の養成訓練費用の給付をもって、その対価を受ける従業員に、それに相応する
      服務を提供するように要求する約定のことをいいます。期間の長さは研修の期間にもより
      ますが、2年~5年が一般的で、合理的な期間であることが必要です。
 

-違約金の額-
 ・違約金の額は企業が提供した研修費用の額を超えてはならない。
 ・研修後の業務に従事した期間については違約金の請求ができない(比例標準額)。
  ※例えば、研修費用3万元、服務期間3年の場合、従業員が研修後2年で退職をした
      場合、違約金の請求額は1万元が上限となります。

 

 日本での研修は企業にとって有用な人材に成長してもらい、長く働いてもらうためにするものです。研修を一度で終わらせずに数度に分けて段階的に行う、日本側でもしっかりした研修評価を行う、などモチベーションアップにつながる制度作りが重要であるといえます。