[2012年11月号] 地域統括会社の活用

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 「持ち株会社」や「統括会社」などの会社形態をご存じの読者は多いと思われます。今回は、これらの形態のうち、地域統括会社をトピックとして取り上げます。
地域統括会社とは、地域毎の拠点を統合する会社を指し、主として次の機能を果たします。

① 地域戦略の立案
② 決済・為替の集中管理
③ 調達・物流の統括
④ ITシステム管理
⑤ 人材育成の一元化
⑥ マーケティング戦略の標準化  ※経済産業省の資料より抜粋

中国国内の複数の製造・販売拠点、中国を含めて東南アジア諸国に所在している現地法人を統括する役割を果たす会社、地域のミニ本社のイメージです。

会社機能としては上記の通りですが、その設置場所に相応しい国、地域となると、香港が候補になります。

 香港では、2011年にアジアの地域統括本部機能を置く外資系企業(中国本土系を含む)の数が過去最高の1,340社、前年比+55社であったと新聞等で報道されました。今年に入り、日系自動車メーカーがその高級ブランドのグローバル本部を設置しています。その増加理由は、中国本土をにらむ好立地に加え、簡素な税制と低い法人税率、自由な情報の流通、国際的なビジネスを行うための法整備、他の国・地域との協定締結などが考えられます。

 筆者は、中国本土で10年間に亘る日系企業の海外事業サポートを経て、今年5月からは香港に駐在しています。当地にて中国本土を絡めて本トピックに関するご相談を受けますが、その日本本社は必ずしも上場企業ばかりではありません。中小規模の会社であっても、海外事業の占める割合が高く、香港現地法人へ意思決定機能を順次、移管することを検討されている事例があります。

 海外への事業シフトを推進するため、既存の現地法人への投資効率を上げるための一つの手段として、地域統括会社の活用を検討されては如何でしょうか。