中国の会計に関して、日本人駐在員の間でよく話題に挙がるのが、下記の疑問です。
~中国の会計処理は、なぜ発生主義ではなく、発票主義が多いのか?~
発票主義とは、「発票が無いと売上も費用も計上出来ない」、という意味です。
様々なケースが想定されますが、一つのケースを例にしてご説明致します。
※発票=領収証
例)ある貿易型企業のケース
疑問
上記の場合は、「発生主義」で売上計上すべきか?
事例の分析
中国現地法人では会計処理に当たり、「企業会計制度(2002年1月施行)」を適用している企業がほとんどだと思います。 その「企業会計制度」の85条では、物品販売時による収入を認識する基準を以下の通り規定しています。
85条 物品販売による収入は、以下の条件を全て満たした場合で認識する。
1. すでに物品所有権に関わるリスク及び報酬が購入者に移転した。
2. 企業に通常所有権に関わる継続管理権も無ければ、すでに売り出した物品の支配権も無い。
3. 取引に関わる経済的利益が企業に流入することが出来る。
4. 収入に対応する原価を合理的
に測定できる。
に測定できる。
上記を勘案して、まず先方との契約の取引条件がどのようになっているのか検討する必要があります。発票を発行しているかどうかは一切考慮しません。(管理上は発票を発行しているかどうかが重要です。例えば、「売上計上済発票未発行残高」の管理等)
このケースを12月30日出荷、12月31日に客先納品 1月4日客先検収 2月10日客先使用としますと、引渡条件が?出荷条件②納品条件③検収条件④使用高条件のそれぞれの場合で
?②の場合は売上計上を行う必要があります。
③④の場合は売上計上を行う必要はありません。但し倉庫在庫から預け在庫へ帳簿上在庫移動を行って自社在庫として管理すべきです。また12月末には棚卸を行う必要があります。
上記のように、そもそも取引先とどのような契約を結んでいるのかによって、顧客先の在庫状況でも異なってきます。これは会計的に違うだけでなく、自社在庫として管理すべきかどうかに注意する必要があります。