2008年12月5日付国家税務総局より国税発「2008」114号「中華人民共和国企業年度関連企業間取引報告表に関する通知」が公布されました。2008年より、年度の企業所得税の確定申告を行う際、従来の「企業所得税納税申告表」の提出に加え、関連企業間取引に詳しく説明した年度の関連企業間取引報告表(以下、「報告表」という)の提出が求められることになりました。中国における強化しつつある移転価額税制の一環のではないかと考えられます。
報告表は下記の九つの表から構成されています。
表一:関連企業との関係:八種類(タイプAからタイプH)の関連関係が挙げられています。複数に該当する場合もあります。例えば、タイプA:二つの法人のいずれか一方の法人が他方の法人の株式総数の25%またはそれ以上を直接又は間接に保有する場合、二つの法人が同一の者によってそれぞれその株式の25%以上を直接又は間接に保有或いは支配されている場合。タイプF:仕入または販売が他の企業により支配されている場合。
表二:関連取引総括表:下記の表三から表九のまとめとなります。各種の取引に対し、取引総額、関連取引額、国内関連取引額、国外関連取引額の記入がそれぞれ求められます。同期資料の準備の有無についても報告しなければなりません。
表三:仕入と販売に関する明細:仕入と販売の取引額に対し、取引の相手先(国内、国外、関連会社、非関連会社)による集計額の記入が求められます。その上、輸出及び輸入の取引額の10%以上を占める仕入先及び得意先の明細(社名、国別、取引額、価格算定方法)を記入する必要があります。同期資料の準備を行っていない場合、価格算定方法の記載は慎重に対処する必要があります。
表四:役務に関する明細:役務の受入と供給の取引額に対し、取引の相手先(国内、国外、関連会社、非関連会社)による集計額の記入が求められます。その上、国外による役務の受入及び供給の取引額の10%以上を占める受入先及び供給先の明細(社名、国別、取引額、価格設定方法)を記入する必要があります。
表五:無形資産に関する明細:無形資産について、所有権と使用権に分けられ、土地使用権、特許権、ノウハウ、商標権、著作権などが挙げられています。譲渡・譲受の取引額に対し、取引の相手先別(国内、国外、関連会社、非関連会社)による集計額の記入が求められます。
表六:固定資産に関する明細:固定資産について、所有権と使用権に分けられ、建物、製造設備、器具家具、運輸設備、電子設備などが挙げられています。譲渡・譲受の取引額に対し、取引の相手先別(国内、国外、関連会社、非関連会社)による集計額の記入が求められます。
表七:資金融資に関する明細:企業がその関連者から受け入れた債権性投資の持分性投資に対する比率の記入が求められます。融資について、関連会社名、国別、貨幣、融資金額、金利、融資期間、未払または未収の金利額、担保者名、担保費額、担保費率などを記入する必要があります。過少資本税制および移転価格税制に関する情報です。
表八:国外投資に関する情報:国外の投資先企業の基本情報及び貸借対照表と損益計算書などの記入が求められます。タックス・ヘイブン対策税制に関する情報です。
表九:国外への支払に関する明細:年間の国外への支払(貿易取引を除く)総額、国外にある関連会社への支払額(貿易取引を除く)、源泉徴収された企業所得税額、租税優遇措置を享受したか否かなどの記入が求められます。