【2025年3月】AI時代に向けた人事対応を考える

 

 

AI時代に向けた人事対応を考える

 

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昨年来、生成AI技術の急速な進化により、企業の実務環境は大きく変化しています。ChatGPT、Gemini、DeepSeek、Qwenなど、優れたAIが次々と公開され、これらを活用したアプリケーションも毎日のようにリリースされています。ビジネス実務上、十分に使い物になるレベルに達しており、今後もさらに品質向上、利便性向上が期待されます。

既に様々な業界でAI活用が始まっています。社内業務の効率化だけでなく、AIによる新サービス、新付加価値創造なども始まっていることは、ここで詳述するまでもなく皆さまも肌で感じられていることと思います。

さて、こうした状況において、人材の働き方や人事制度のあり方は大きく変わらざるを得ません。AIの普及により、従来の業務プロセスが自動化され、AIにはできない成果や、新しい技能、姿勢が求められるようになります。業種、業態により変化の内容に違いはあると思われますが、人事部としては、いち早く以下のようなことに取り組んでおくべきであろうと思われます。

 

1.技能トレーニングの提供:

ビジネスにおいてAIが使えないとは、従来で言えば「メールが使えない」のと同様以上の非常識になる日が近づいています。AIの活用を前提とした新たなシステムに対応した教育プログラム、AI関連の技能を習得するためのトレーニングの提供体制を整えましょう。「AI使ってみたけど、全然ダメ」のようなことを仰る方が未だにおられるようですが、AIがダメなのではなく、使い方がダメなのだということを知らなければなりません。

 

2.新しい評価指標の設定:

AIを活用した業務成果を評価する新制度が必要です。一般的な知識や技能は個人評価において意味を持たなくなる可能性が高いと同時に、AIは間違えたり、冗長で創造性の乏しい成果物を出すこともあります。これを適切にコントロールし、「自社・自分でなければできない」成果を如何に生み出すかが、問われるようになります。

 

3.採用戦略の見直し:

組織のAI活用能力を強化するため、AIを使える人材を積極採用するのはもちろん、AIに限らず新しい技術を使っていこうとする自律型、自営型人材がますます求められるようになります。そうした人材の比率を高めていくことが求められます。

 

4.組織文化の変革:

AIと人間の協業を促進する組織文化を醸成していく必要があります。プロセスを管理することは難しくなり、成果物の価値を測ることがより重要になってくるため、これに伴ってマネジメントのあり方も変わっていきます。

 

5.AI管理規程の策定:

AIを企業が活用するうえでは、セキュリティを確保し、業務にどのAIを使うか、どのように使うか、また新しいアプリケーションを利用する際の登録、申請方法などの社内ルールを明確に定めておく必要があります。IT部門、事業部門と調整し、できるだけ早急に規程を整えてください。

 

AI技術の進化は、企業の人事に大きな影響を与えます。人事部は、これらの変化に対応するために、迅速かつ効果的なアクションを取ることが求められます。具体的にどのような対応が自社で必要になるか、検討される際には是非マイツにご相談ください。