【日中クロスボーダーM&Aコラム】FDI外貨変更登記とは?

日中クロスボーダーM&Aコラム

 

「FDI外貨変更登記とは?

 

Q:譲渡金額を日本に送金する場合FDI外貨変更登記が必要と聞きました。意味を教えて下さい?

 

A:FDI(Foreign Direct Investment)とは、中国では一般に「外国直接投資」を意味します。外国企業は、【外国投資家による国内直接投資の外貨管理規定】に基づき、外国から直接投資を行う場合、FDI外貨登記が必要です。また、資本変更を含むその後の会社情報に変更があった時には、変更登記が必要となります。

解説:

1.FDI外貨変更登記手続きの受理部門

2015年6月に施行された【直接投資外貨管理政策の更なる簡素化と改善に関する通達(匯発「2015」13号)】によると、国内直接投資に関わる外貨登記申請の受理部門は地方外貨管理局から登録地の銀行に委譲され、銀行とその支店は地方外貨管理局の指導の下で、直接投資外貨登記などの関連業務を行う形になりました。

また、企業は関連業務を行う銀行を自ら選択することができるとなっていますが、持分譲渡の場合は通常、資本金口座又は人民元基本口座を開設した銀行、あるいは送金を行う銀行で行われます。

 

2.FDI外貨変更登記手続きに必要な書類

変更事項や変更後の会社形態(内資・中外合弁・外商独資など)によって、必要な申請資料に相違はありますが、持分譲渡によるFDI外貨変更登記手続きでは、実務上、以下の資料が基本的に必要になります。

  1. 持分譲渡契約書及び譲渡に関する決議書
  2. 新定款又は定款修正案
  3. 営業許可証
  4. 財務関連資料:財務諸表、出資金証明資料など
  5. 納税証明書:税金が発生した場合
  6. 変更前の業務登記憑証
  7. 新株主の主体を証明する資料

その他銀行が要求資料

 

3.FDI外貨変更登記手続きの注意事項

持分譲渡の場合、銀行によっては、譲渡に関する法令遵守に対する審査に加え、資産評価報告書の追加提示を要求して譲渡価格が妥当かどうかも審査する場合があります。

また、国内居住者によって支配されている外国投資家が、リターン投資(中国語:返程投资)で国内企業を買収する場合、銀行より、その支配状況の開示や、国内居住者の関連する海外投資登記(ODI届出)の証明資料の提示が要求されると考えます。