PDF版はこちら →上海通信 2024年10月号
年度の途中で駐在員の帰任が決まることは少なくありません。帰任が決まったら、会社としては帰任日までそのまま何もしなくてもよいのかというと、そうではありません。後顧の憂いなくスッキリ帰任してもらうため、以下の事項について注意してください。
①帰任者の個人所得税関連(居住者or非居住者)
要点 |
・会社財務担当者への情報共有及び帰任年度の滞在日数の把握(累計滞在日数)
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・居住者または非居住者の是非判断、追加納付有無の確認
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個人所得税は居住者と非居住者で計算方法が異なりますが、中国での滞在日数が累計満183日(満24時間滞在日数)か未満かにより居住者か非居住者を判別します。帰任する年度での滞在日数が事前に分かる場合は、予め居住者か非居住者かを確認しましょう。仮に183日に満たない場合は、非居住者として申告します。また、逆に居住者として申告していたものの年度途中で帰任することが分かり、結果的に累計日数が183日未満となる場合は、居住者から非居住者への変更手続きが必要となり、非居住者として納付すべき合計税額に達していない場合、追加納付をする必要がありますので注意してください。
②工作許可証と居留許可の抹消
要点 |
・会社総務担当者に帰任について情報共有
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・会社より関連機関に工作許可証と居留許可の抹消申請を実施
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・30日間の臨時滞在停留ビザを発行してもらい帰国
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「外国人の在中国就業管理規定(中国語:外国人在中国就業管理規定)」第20条において、雇用された外国人と雇用会社が締結した労働契約が解除された後、当該雇用会社は適時に労働部門、公安部門に報告し、当該外国人の工作許可証と居留許可を返却し、公安機関で出国手続きを行う必要があることが定められています。これに則り、帰任する駐在員は工作許可証と居留許可を抹消しなければなりませんが、抹消してから帰任するまでの間は、30日間の臨時滞在停留ビザを発行して過ごします。
③個人銀行口座の維持と送金
要点 |
・銀行に送金必要書類の確認、準備
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・銀行窓口にて必要書類を携え、送金手続き実施
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中国で開設している個人銀行口座について、帰任してから長期間口座を動かしていない場合や開設時に必要情報として銀行に登録していたパスポート有効期限が過ぎてしまった場合、個人口座からお金を引き出せなくなる例がございます。今後の中国出張や訪問のために必要な資金だけは留保しておきつつ、中国で消費する予定のない人民元預金については外貨に両替の上、日本または別の口座に送金しておくことをお勧めします。外国人の給与所得の場合、両替及び送金に必要な資料は送金銀行により異なりますが、
- 労働契約書
- 納税証明書
- 給与証明
- パスポート
- 国外の入金銀行情報
となります。B.については管轄の税務局または個人所得税アプリ、C.については会社または銀行の端末機械にて発行できますが、念のため事前に銀行に確認されることをお勧めします。なお、銀聯カードの場合、日本や国外のATMでも引出しはできますが、1枚のカードにつき、1日1万元、年間(暦年)10万元が限度額となっていますので、ご注意ください。