PDF版はこちら → 上海通信 2024年5月号
【現地情報が得やすくなってきている現在】
2022年末にコロナウィルスによる行動制限が解除されてから日本からの出張者数が増えてきました。それに連動しこの春で帰任者、新赴任者と入れ替わりも多くなってきています。
弊社では毎年この時期に中国新赴任者向けセミナーを開催していますが今年(2月28日実施)は視聴参加者が400名を超え、ここ数年では最大の数となりました。昔と違い現在は中国の情報はかなり得やすくなってきていることからも新たに赴任される方々にしてみれば中国ミッションに早く取り掛かれるのではないかと思われます。ただ情報が得やすくなった、と言ってもやはり海外は海外、日本とは違い法律、ルールなどは違います。また現地労働者の仕事に対する価値観も日本とは違います。
それらのことを考慮するとやはり赴任者の方々が苦労される部分も多いと推測されます。
【駐在員のうつ病発症数が増えている】
上海にある外国人向けクリニック「MediLink」の唐医師によると昨今日本人駐在員のうつ病発症率は増えてきており当院への来院者数も年々増えてきていると話されています。
特に日本人駐在員については以下の理由からうつ病になりやすい傾向があると言われています。
- 相談すべき相手、話せる相手がいない。(一人で抱え込んでしまう傾向が強い)
- ストレスの発散方法が見つけられない。
せっかく本社から任命され赴任したのにストレスばかりでうつになってしまった、、、となっては元も子もありません。そこでそのような状態に極力ならないためにどうしたらよいでしょうか?
【うつ病、もしくはうつ状態に極力ならないためには】
まず赴任されている駐在員の方々に対して、これは海外に限らず日本国内でも同じなのですが「相談できる(愚痴が言える)環境、人を作る」ことです。これは「仕事の」だけではなく共通な趣味を持つ方同士でも良いと思います。新規赴任されたばかりの方からすれば「そんな簡単に」と思われるかもしれませんが中国では様々なコミュニティがあり、気軽に参加できます。是非一度トライしてみることをお薦めします。
次にこれは日本本社側の対応になりますが状況をフラットに見られる第三者機関を用意しておくことです。これは駐在員自身が心理的に参っている(うつ状態)状況下でその方からの報告事項について、内容によっては偏った見方で報告される場合もあるからです。第三者機関(これは弁護士事務所でも弊社の様なコンサル会社でもどこでも)の見解も参考にし、対応策の判断をすることをお薦めします。
最後にですが、「スピード感」です。実際に駐在員がうつ状態、もしくはうつ病と判断、もしくはその一歩手前などの状態において時間をかけてしまったらさらに悪化、最悪の場合、労災になります。常日頃から状況を把握しておく、鬱状態、うつ病と判断された場合には速やかに一時帰国させるなどの対応も考えなくてはなりません。
多いのは「ちょっと様子を見てみよう」という判断です。この「様子を見てみよう」が絶対にダメ、ではないのですが海外拠点についてはそのまま放置されやすい傾向があります。
様子を見てみようという判断をされる場合は「いつまで」を必ず決めておくことも重要です。
それらのことを取り決めしておく規定(海外駐在員規定など)の整備なども重要になってきます。
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