【2023年8月】固定資産に対する評価と廃棄処分の時の留意点

 

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中国の会計準則において、耐用年数が1年を超える、商品生産、役務提供、リース及び経営管理のために保有している資産は、固定資産に計上します。昔は、単価2,000人民元以上、残存価値が取得原価の10%などの規定がありましたが、現在、このような金額基準が撤廃されており、固定資産の性質と使用状況に応じて、合理的に会社自身で決められます。

技術進歩、生産計画、経営環境などの影響を受け、固定資産の価値が著しく下落するケースがあります。この場合、固定資産の帳簿価格を減額し、減損を計上する会計処理が必要になります。例えば、設備が遊休している状態、2年以上赤字が続いている状況であれば、固定資産減損の計上を検討しなければなりません。

 

留意項目

内容

会計処理の時期 会計決算期。半期末、あるいは年度末に実施される。
固定資産減損の計算 ①   減損の兆候があるか判断する。

②   兆候があったと判断されれば、減損金額を測定する。

③   減損金額=「回収可能価額」-「帳簿価格」。

④   「回収可能価格」の計算は複雑なため、監査法人及び日本本社の経理部へ、よく相談する必要がある。

税務上の扱い 損金算入ができなくなり、確定申告の時に加算される。翌年度から、減価償却の金額に基づき、確定申告の時に減算される。

 

固定資産の使用状況に応じて、定期的に廃棄処分が実施されることがあります。処分損失の損金算入が可能ですので、下記の留意事項があります。

留意項目

内容

損金算入の手続 税務局への事前申請と承認は不要。

損金算入のための資料準備と保管が必要。

所要資料 ①   処分についての説明資料(購入時の発票、処分の原因などを含む)。

②   社内承認の書面。

③   社内関連部門が発行する責任認定、原因特定に関する書面。

④   損失金額が大きい場合、会計師事務所が発行する専項報告書を用意する。

 

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