【2021年8月】財務と税務面 契約書チェックのポイント

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企業の日々の業務の中、多くの契約書が締結されています。契約書に対し、リーガルチェックがよく実施されていますが、財務面と税務面のレビューが実施されていないケースがあります。

  契約書は、会計処理の根拠となり、税務リスクにも関与しています。リーガルチェックだけではカバーできない部分がありますので、財務面と税務面のレビューを実施することをお勧めします。

財務面と税務面のチェックポイントについて、ご参考のため、下記のように、まとめてみました。

 

項目

説明

1

発票種類の明確化

中国では、普通発票、増値税普通発票、増値税専用発票などの種類がある。

商品を購入する時に、仕入増値税の控除を適用するため、増値税専用発票を入手する必要がある。

2

単価の項目に増値税率、増値税抜の金額、増値税込の金額を明記

増値税率の変更が発生する場合、取引先との価格交渉はやりやすくなる。

3

決済条件の確認

会社の資金繰りに大きく影響している。

決済スケジュールの確認: 前渡、与信の期間

決済の方法: 銀行振込、銀行保証の手形、現金

現金による決済はなるべく避ける。

4

銀行の口座名義の確認

銀行口座の名義、契約書の契約先、発票の名義、三者は一致させる必要がある。

5

商品引渡の条件の確認

売上認識の時点に影響している。

20211月より、中国の企業会計準則(「新会計準則」と呼ばれることがある)の収入準則が改正され、契約書の内容及び根拠資料に基づき、売上認識の時点が判断される。

6

立替金の内容を避ける

中国の税務上で、損金算入のため、発票の宛名は会社の名義が必要である。立替金については、関連する発票の入手が難しい場合を想定して、税務リスクを回避するため、立替金としての扱いは避けたほうがいいと考えられる。

7

「無償」という内容を避ける

中国の税務局は、「無償」の妥当性を認めず、益金算入と要求されるケースがある。

8

中国の外貨規制

中国では、外貨規制が厳しく実施されている。

契約書の内容(特に商品輸出と輸入以外の非貿易取引)により、外貨送金、入金ができなくなる可能性がある。