[2011年7月号]中国子会社の配当及び送金の手続きについて

上海マイツ通信ロゴ.png

上海07.png

 

2011年の下半期に入り、2010年度の確定申告が終わり、そろそろ2010年度の決算に関する董事会を開催される会社さんも多いかと思います。今回は中国子会社の配当及び海外送金の手続について解説します。

 

1. 配当可能金額は、2010年末までの未処分利益(税引後2010年度利益+過年度繰越損益)から「三項基

金」を控除した金額となります。
「三項基金」は、「準備基金(税引後利益の10%)」、「企業発展基金(董事会で決定)」と「従業員福利と奨励

基金(董事会で決定)」を指します。

① 独資の場合、「企業発展基金」の積立が不要です。
② 合弁の場合、準備基金も董事会で決められます。
③ 準備基金について、登録資本金の50%に満たせば、追加で積み立てる必要がありません。
④ 準備基金及び企業発展基金は内部留保として、将来、欠損金の補填、資本金への振替が可能です。

 

2.  銀行での配当金の送金手続には、以下の書類が必要となります。
①  董事会決議書(配当案を含む)
②  2010年度の監査報告書
③  外貨登記証
④  税務証憑(完税証明+税単)

 

3.  配当金の送金に関する留意事項

①  中国において、原則、中間配当を行うことは出来ません。
②  会計処理のタイミング。配当が決定した月に、負債として「未払配当金」を計上する必要があります。
③  保有外貨が不足する場合には、外貨購入手続を行った上で配当送金を行います。
④  過年度の配当金を送金する場合には、会計師事務所にて配当送金専用の会計審査を受ける必要

があります。
⑤  中国国内における外資企業が行う配当金の海外送金については、2008年1月1日以前に生じた利益に

対し源泉所得税が免除され、2008年1月1日以後に生じた利 益に対し10%の源泉所得税がかか

ります。

しかし、香港出資の場合、源泉所得税の税率は5%となります。