PDF版はこちら → ミニかわら版 2022年10月1日号
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入開始まで1年となりました。
(原則、2023年3月31日までに登録申請が必要です。)
仕入先が免税事業者の場合、適格請求書を発行してもらうことができず、消費税額の計算上、仕入税額控除の対象とすることができません。
(制度実施後3年間(2026年9月まで)は消費税相当額の80%、その後の3年間(2029年9月まで)は50%を仕入税額控除の対象とする経過措置があります。)
そこで、インボイス制度の導入を契機として、仕入先である免税事業者に対し取引条件を見直すケースも出てくることが予想されます。ただし、条件の見直しに当たり、買手である課税事業者側が「優越的地位の濫用」に該当する行為を行わないように注意が必要です。
独占禁止法や下請法等では、下記のような行為が問題であるとされています。
1.取引対価の引下げ
取引価格の再交渉が形式的なものにすぎず、課税事業者の都合のみで著しく低い価格を設定し、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格を設定した場合。
2.商品・役務の成果物の受領拒否、返品
3.協賛金などの負担の要請等
4.購入・利用強制
5.取引の停止
事業者がどの事業者と取引するかは基本的に自由ですが、一方的に、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格など著しく低い取引価格を設定し、不当に不利益を与えることとなるような場合であって、これに応じない相手方との取引を停止した場合。
6.登録事業者となるような慫慂(しょうよう)等
免税事業者に対し、課税事業者になるよう要請すること自体は、独占禁止法上問題となるものではありませんが、それにとどまらず、課税事業者にならなければ、取引価格を引き下げるとか、それにも応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告すること。