【2019年8月】自己株式を低廉取得する場合の留意点について

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株式の発行会社が自己株式を取得する場合において、その取得価額が時価に比して低額であるときは、株式の発行会社にとっては資本等取引となって受贈益は生じないため課税関係は生じませんが、株主にとっては株式の譲渡所得、更に低額譲渡であれば他の株主に対する贈与税の課税関係が生ずることが考えられます。

【株式の発行会社の課税関係】

・平成18年度の税制改正により、自己株式は有価証券の範囲から除外され、その取得は資本等取引に該当するものとされました。自己株式の取得金額が時価に比して低額であったとしても、会社に経済的価値は流入しないので発行法人において受贈益は生じない事になります。

・自己株式の取得は、資本金等の額の減少(減資)として、自己株式の取得対価が取得資本金額を超える部分は配当とみなされます(みなし配当)。

【株主の課税関係】

・一方で、株主にとっては、自己株式の譲渡であっても資産である株式の譲渡であり、上記の配当とみなされた金額(みなし配当)と株式の譲渡損益について所得税の課税対象となります。

・また、株式の譲渡が低額譲渡に当たる場合は、それによって他の株主の有する株式の1株当たりの価額が売買取引前よりも増価することになります。株式の価額が増価する場合には、株式の譲渡人から各株主に対して経済的利益の贈与があったものとして、贈与税の課税対象となる事があります。

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