経営承継円滑化法
~遺留分に関する民法の特例について~
今回は、経営承継円滑化法のうち、平成21年3月1日から施行となる「遺留分に関する民法の特例」について、解説致します。遺留分による紛争や自社株式・事業用資産の分散を防止するための制度として、注目されている制度です。
Ⅰ.背景
・ 後継者に自社株式を集中させようとすると、他の相続人の遺留分を侵害することになる。
・ 遺留分の算定基礎となる生前贈与分の自社株式については相続開始時の評価となるため、贈与を受けた後、後継者の努力で株価が上昇するほど、他の相続人からの遺留分減殺請求額が増えてしまう。
・ 中小企業経営者の相続の場合、事業承継について以下のような問題がありました。
Ⅱ.新制度の概要(一定の要件・手続のもと、以下の制度の適用を受けることができます)
①生前贈与株式を遺留分の対象から除外→相続に伴う株式分散を防止できる。
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②生前贈与株式の評価額を予め固定 → 後継者の貢献による自社株の価値上昇分が遺留分減殺請求
の対象外となるため、経営意欲が阻害されない。
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※遺留分とは?:遺言等で侵害された場合に主張することができる相続人の最低限度の取得分のこと。
※上記①と②の制度は、いずれか一方または双方を組み合わせて適用を受けることができます。