【日中クロスボーダーM&Aコラム】M&Aで使用されるLOI、MOU、SPAの意味

日中クロスボーダーM&Aコラム

 

「M&Aで使用されるLOI、MOU、SPAの意味

 

Q:弊社は、中国子会社をM&Aし撤退する予定です。M&Aで使用される、①LOI(意向表明書)、②MOU(基本合意書)、③SPA(持分譲渡契約書)の意味とその違いについて教えて頂けますか?

 

A:LOI、MOU、SPAのそれぞれの意味、内容と違いは以下の通りです。

解説:

M&Aのプロセスにおいて、売り手と買い手の合意内容を確認し、クロージングまでの契約書類には様々な聞きなれない書類が出て来ます。手続きのフローの中で使われる主たる書類には、意向表明書LOI(Letter of Intent)、基本合意書MOU(Memorandum of Understanding)、持分譲渡契約書SPA(Stock Purchase Agreement)があります。

 

① LOILetter of Intent:意向表明書)

  1. LOIとはLetter of Intentの略称であり、意向表明書と訳され、買い手が売り手に対し、会社買収の意向を表明する書類になります。
  2. 締結目的:買い手がLOIを提出することで、売り手に対し購入の意向のある事を表明するとともに「独占交渉権」を得ることができます。
  3. この独占交渉権は、通常45日~60日程度の期間を売り手から付与され、NDA契約(秘密保持契約)を締結し、買い手はこの間に、財務DD(デユーデリジェンス、調査)、税務DD、法務DD、労務DD、事業DDなどを実施し、経営内容などをチェックし、購入希望価格を調整します。

 

② MOU(Memorandum of Understanding:基本合意書)

  1. MOUとはMemorandum of Understandingの略称であり、持分譲渡契約が正式に締結される前段階の合意文書(覚書)になります。
  2. 締結目的:各種DD後、双方でLOIの詳細について交渉し、具体的な内容を取り決めます。MOUを締結することで、重要点の合意形成、スケジュールなどを具体的に書面化し、整理・確認することになります。

 

SPA(Stock Purchase Agreement:持分譲渡契約書)

  1. SPAとはStock Purchase Agreementの略称であり、売り手と買い手が持分譲渡について、MOU後交渉合意した時点で締結される契約書のことです。
  2. 締結目的:SPAを交わすことで、売り手は持分を譲渡し、買い手は持分を購入する義務が生じ、個々の契約内容を実行します。SPAでは、代金の支払い方法や売り手によるリスクに対する表明保証、また契約解除の規約や契約違反の損害賠償請求に関する記載など、さまざまな内容を取り決めます。