日中クロスボーダーM&Aコラム
「MBOの過去事例を教えて下さい」
Q:弊社は中国からの撤退を考えています。嬉しい事に中国人幹部達から、子会社を自分達で購入し運営を続けたいという申出でがありました。中国人幹部に譲渡する場合の問題点などをご教示下さい。
A:MBOで会社幹部に譲渡する場合、得意先の承認を得られるか?譲渡代金は一括で支払えるのか?などクリアしなければならない問題がありますので、事前の協議が必要です。
解説:
1.MBOとは
MBOとは、Management Buy-Outの略称で、経営陣が株式(持分)を買収する、事業部門を買取るという意味です。
日本では、上場企業が大株主の影響を受けず独立した経営を行いたい時に、経営陣が株式を取得する時に使われる事が多いM&Aの手法です。
2.中国子会社のMBO
中国人は、経営意欲が旺盛で子会社の経営幹部(総経理、副総経理などの役職)に就任している場合、パートナーの様な意気込みで仕事をしている者もいます。
この様な中国人経営幹部層からすれば、清算するのであれば自分がこの子会社を運営してみたいと気持ちを少なからず持っています。
3.中国人幹部によるMBOのメリットデメリット
中国人幹部は、子会社の経営内容に精通しており、買収後も何の問題もなく動かす事が可能で、今後継続して得意先への納入が可能です。また、中国人経営者幹部がそのまま事業を継承しますので、経済補償金の支払いも必要がない場合もあります。
逆に、持分を一括で支払う資金が無い事が多いため、何時までも投資者の名義変更が出来ず、経営責任を負い続ける可能性があります。
4.中国でのMBOの事例
①日本人総経理が事業を継承
親会社が倒産した為、現地に赴任していた日本人総経理が、子会社持分を譲受、事業を継承したケースがあります。
②子会社の社員代表として中国人総経理が持分を取得
商圏、技術などをそのまま譲受して、譲渡代金は分割して支払ったケースもあります。