【日中クロスボーダーM&Aコラム】土地使用権を有する持分譲渡の事例

日中クロスボーダーM&Aコラム

 

「土地使用権を有する持分譲渡の事例

 

Q:弊社は土地使用権及び建物を有する子会社の持分譲渡を予定しています。土地使用権は時価の高騰から簿価との乖離が激しいです。過去に行われたM&Aの事例から、土地使用権及び建物を有している企業のM&Aの留意点を教えて下さい。

 

A:一番の問題は、買手候補が事業を継続するかどうかであり、単なる転売目的の場合は、みなし土地増値税が課税される恐れがありますのでご注意下さい。

解説:

1.M&Aの取引価格

M&Aの取引価格は、時価純資産法や収益還元価値法で評価を行う事になりますが、売手としては、時価純資産は最低限確保したい譲渡価格です。

 

2.M&Aにおける税金

既に述べましたが、日中間のクロスボーダーM&Aでは、譲渡価格-取得原価=持分譲渡に係る企業所得に対し、10%の源泉所得税を納税する事になります。(企業所得がマイナスであれば課税はありません。)

 

3.みなし土地増値税の課税

M&Aは、有機的一体となっている企業を譲渡する事になるので、M&Aに係る企業所得税は、上記の通りですが、注意しておかなければならないのが、みなし土地増値税です。これは、購入者が土地使用権や建物の転売を目的とした取引と見做された場合、土地使用権及び建物の取得原価より増値(所得)した額に対し、土地増値税を課税するという制度が存在します。

 

4.みなし土地増値税の税率

もし、みなし土地増値税が課税されれば、土地増値額と取得原価に対する増値割合に対し30%から最大60%の増値税が企業所得税と別枠で課税されますので、送金できる金額が著しく無くなってしまいます。

 

5.ソーシング

我々マイツグループは、みなし土地増値税が課税されないように、ソーシングを掛ける時に、買手の事業内容を検討し、事業計画などをヒアリングし土地使用権が課税されないように注意しています。