【日中クロスボーダーM&Aコラム】従業員サボタージュへの対応

日中クロスボーダーM&Aコラム

 

「従業員サボタージュへの対応

 

Q:弊社は持分譲渡で子会社を譲渡する予定ですが、その情報が従業員に漏れ、経済補償金の計算方法を提示して欲しい要求と共にサボタージュをしています。在庫を積み上げる為、労働者を通常の生産業務に戻す方法はありませんか?

 

A:生産停止日、労働契約合意解除日を決め、サボタージュを続ける労働者には、通常の社員と経済補償金に差をつける内容を公表すれば良いかと思います。

解説:

1.サボタージュ事実の確認

先ず、サボタージュをしている事実を会社側は立証できる証拠を揃えておく必要があります。生産指示書を出して、予定数量と実際数量との差を記録し、明らかに労働者がサボタージュをしている事実を客観的に掴むことが必要です。

 

2.清算と持分譲渡では経済補償金が違う

清算を前提とした経済補償金の支給は、労働者にとって労働契約が消滅するわけですから、通常定められている経済補償金(前年給与総額×勤続年数=N)を支払えば法的には何の問題もありません。

但し本件は持分譲渡なので、会社は投資者を変更するだけで、企業はそのまま残ります。因って会社側は労働者との間で合意解除による、労働契約の停止を求めなければなりません。

 

3.清算する事を前提に合意解除を求める

会社は、清算に基づき事業の撤退を決めた場合には社員に通告し、原則清算なので上記の通り経済補償金はN以外に出す必要がない事をアピールします。

但し、会社としては社員の過去の労働に報いる為、合意解除による経済補償金の積み増しを用意している事を提案します。(通常N+2カ月、多くてもN+3カ月)

サボタージュする社員にはN(法定の最低経済補償金)しか出さない事を通知すれば、会社の提案に応じるかと考えます。

 

4.清算から持分譲渡方式に撤退案を修正

上記1~3のステップで、一旦は清算手続きを開始し、その後、株主会決議で、清算から持分譲渡手続に切り替える事を決議すれば、清算手続き中であっても清算業務が完了(清算抹消登記の完了)していなければ、持分譲渡に変更する事は可能です。