【日中クロスボーダーM&Aコラム】労災認定者の処遇について

日中クロスボーダーM&Aコラム

 

「労災認定者の処遇について

 

Q:弊社は持分譲渡で子会社を譲渡する事としていますが、労災認定者が社員にいる場合、合意解除はできないと聞きました。本当でしょうか?その場合、どの様にすれば良いでしょうか?

 

A:労働契約法上、労災認定者は原則解雇する事は出来ず、定年退職まで雇用する必要があります。この点を理解の上、労災認定者又は買手と話をして方策を決める事になります。

解説:

労災と私傷病との間には、労働契約解除の可否について、大きな差があります。

1.私傷病者の労働契約解除

私傷病者が決められた医療期間を満了し、職場に復帰してきた場合、本人が従来の業務を務める事が出来ず、且つ会社が別の業務を手配し、その新たな業務も務める事が出来ない場合30日の予告期間をもって一方的に解除する事が出来ます。

 

2.労災認定者の場合の労働契約解除

労災有給期間満了後に医療期間が満了した場合で、従来の業務を務める事が出来ず、会社が新たな業務を手配し、新たな業務も務める事が出来ない場合であっても労働契約を解除する事は出来ません。

 

3.労災認定者を抱えている場合の対策

上記の通り、労災認定者が会社にいる場合は、簡単には合意解除する事が出来ず、本人の定年退職までの給与を払い続けなければならず、このために持分譲渡が出来ない事になれば大変です。対策ですが、

➢定年退職までの金額+αを提示し合意解除に応じて貰う
➢持分譲渡では、譲受者に全ての権利が移管しますので、定年退職までの給与+αを持分譲渡の金額から控除する。又は当該給与総額を現預金で別途残す

 

などの方法で対応しています。