日中クロスボーダーM&Aコラム
「顧客資産、人材資産などを如何に資産評価に加えるか?」
Q:顧客資産、人材資産などはどのように資産評価に加えることができますか?
A:資産評価の構成要素と、それぞれの計上方法は以下の通りとなります。
解説:
IM(企業概要書)は、言わば会社の販促パンフレットで、事業状況や決算情報など、買手が対象会社の買収を検討するために必要な情報が載っており、この中で売手の「希望譲渡価格」を記載しますが、一般に、以下の構成要素があります。
それぞれの内容は、
直近の決算期(もし決算期から時間が経過している場合は直近の半期や四半期)の簿価純資産で、決算期なら監査報告書、半期や四半期なら日本の本社向けの財務報告書(BS、PL等)を根拠に計上します。
鑑定評価会社に時価評価を依頼し、その評価額と簿価との差額を根拠に計上します。
(2)と同様です。
対象企業の今後5年間程度の事業計画を基にして、フリーキャッシュフローの現在価値を算出し、これを根拠に計上します。
さて、それでは(5)顧客資産と(6)人材資産はどのように計上するのでしょうか? 対象企業の顧客資産と人材資産とは、創業以来、長年培ってきた顧客ベースや事業を支えてきた従業員の価値のことですが、対象企業ごとに事業や状況が異なるため、マイツグループでは、一般に、以下の方法で算出しています。
【顧客資産】: 対象企業の過去3年間程度の平均売上高の10%を期待顧客価値と見做して算出
売上の源泉は顧客からの収入なので、売上金額と顧客の価値にはリニアな相関関係があります。よってその平均売上高の一定割合10%を根拠として計上します。
【人材資産】: 全従業員の年収の30%を人材の再構築価値と見做して算出
顧客と同様に、従業員がいなければ売上は成り立たないので現有従業員をイチから再構築するとした場合のコスト、すなわち一般的な人材紹介会社の報酬30%を根拠として計上します。