日中クロスボーダーM&Aコラム
「中国の資産評価方法<時価純資産法>」
Q:中国の資産評価方法のうち、時価純資産価格法について、教えてください。
A:中国においても、時価純資産法は最もよく使用されている評価方法の一つであり、基本的な考え方も、日本の時価純資産法と同様です。
解説:
日中のクロスボーダーMAでは、企業価値を評価する際、最も良く用いられる評価方法の一つとして、コストアプローチ(修正簿価純資産法=以下“時価純資産法”と表記)が挙げられます。
具体的には、企業が保有する資産及び負債を基準日時点の時価に換算し、資産から負債を差引した純資産を企業価値と看做すものであり、日本の時価純資産法と特段の差異はありません。
中国の時価純資産法の特徴として、現地法人がサービス業の企業など、土地(使用権)を始めとする大幅な含み資産を有さないケースでは、一般的には監査報告書との差異はあまり大きくありません。
一方で、例えば1990年代や2000年代前半に進出し、工場用地を有する日系現地法人では、土地(使用権)や建物などの不動産の含み益が大きい為、時価純資産法を用いた資産評価では、当該資産の時価が簿価よりも大幅に高くなり、企業価値自体も大幅に上昇するケースが散見されています。
従い、このようなケースでは、現地法人の貸借対照表上の簿価では、債務超過や債務超過に近い価額であっても、現地法人が有する土地(使用権)等の含み益により、簿価を大幅に上回る売却価格で、中国市場から撤退する例も散見されます。