
PDF版はこちら →China Info JPマイツ通信 2025年12月号
2024年11月末以降、中国出張時のビザ免除政策が採られましたが、先般、単方面査証免除措置の延長に関する通知(以下“ビザ免除措置の延長通知”と表記)[i]により、当該措置の1年延長が公表されました。
本稿では、従来の経緯と本通知の説明、及び短期滞在に係る関連留意事項を列挙します。
1.従来の経緯[ii]
新型コロナウィルスの発生前は、中国への滞在“15日以内”の商業・貿易、観光、親族訪問等の入国には、ビザが不要でした。しかし、コロナ禍に外国人の中国への入国が暫定的に停止し、その後、規制内容に調整が加えられつつ、MビザやZビザ等の取得を前提に、中国への渡航が再開されました。
更に、2023年1月より中国入国時の隔離措置が撤廃され、2024年11月にはビザ免除国の更なる拡大と入国政策の最適化に関する通知(以下“2024年通知”と表記)[iii]により、短期出張者や旅行者等に対して2024年11月30日から2025年12月31日まで、日本を含み、滞在“30日以内”のノービザでの入国が可能となりました。
2.ビザ免除措置の延長通知
中国外交部は2025年11月10日付けで、“ビザ免除措置の延長通知”により、2024年通知の内容を実質的に延長し、日本を含む対象国の一般旅券を保持する短期出張者や旅行者等のノービザでの中国入国と30日以内の滞在の措置を2026年12月末まで延長すると、公表しました。同通知の原文は、以下の通りです。
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【ビザ免除措置の延長に関する通知】 本措置の対象国の一般旅券保持者が、商用、観光、親族・友人訪問、交流、又はトランジットを目的として中国に入国する場合、30日以内の滞在に限り査証の取得を免除する。 ただし、査証免除要件を満たさない者については、引き続き中国入国前に査証を取得する必要がある。 査証免除対象国一覧: フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、スイス、アイルランド、ハンガリー、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルク、オーストラリア、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、ギリシャ、キプロス、スロベニア、スロバキア、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランド、モナコ、リヒテンシュタイン、アンドラ、大韓民国、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、マルタ、エストニア、ラトビア、日本、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、ウルグアイ、サウジアラビア、オマーン、クウェート、バーレーン |
3.短期滞在に係る留意事項
当該措置の継続は朗報です。一方で、昨今の状況を踏まえ、短期出張・観光等には、以下等にもご留意ください。
- ➢境外人員住宿登記(臨時宿泊届)の運用に係る厳格化:地域により運用差があるものの、当該登記(届)の管理が厳格化されています。但し、外国人が宿泊可能なホテル等(中国語:渉外酒店)であれば施設側が実施しますので(友人宅等での宿泊が無い限り)、通常は寧ろ、駐在者に直接的に関わる論点との認識です[iv]。
- ➢個人所得税への対応:日本国籍者の場合、中国国内滞在日数が183日超の場合、日中租税条約の短期滞在者免税措置を享受できず、(他の2要件を充足していたとしても)中国税法上の納税義務が生じます。
- (納税義務が生じた場合、中国マイツグループにて納税代行が可能なケースもありますが、当該現地企業での税務システム操作、納税操作等が基本的に必要となるケースもあり、この場合、当該現地企業の協力が前提となります。)[v]
- ➢治安面の情報収集:過去の歴史に関わる日や行事、渡航時の政治状況など、慎重な行動を念頭にすべき時期もあります。日本大使館や中国各地の総領事館が発出する安全情報も併せてご参照頂ければと思います[vi]。
[i] 原文URL:关于延长单方面免签政策的通知 /FYI:外務省 海外安全ホームページ|中国入国のためのビザ免除措置延長
[ii] 過去の経緯の詳細は、JPマイツ通信(2024年11月(増刊号))他を参照のこと。
マイツグループニューズレターは右記URLの通り。URL:ニューズレター アーカイブ| 株式会社マイツ
[iii] 原文URL:关于进一步扩大免签国家范围并优化入境政策的通知
[iv]詳細は、上海通信(2023年9月号、2025年12月号)等をご参照願いたい。
[v] 詳細は、JPマイツ通信(2023年3月号)等をご参照願いたい。
[vi] 外務省HPに掲載されている、右記URL情報等を参照されたい。URL:海外安全ホームページ: スポット情報詳細
