【2022年12月】中国の行動制限を含む水際対策の再緩和と各地の感染状況の拡大・行動制限について

 

PDF版はこちら → China Info JPマイツ通信 2022年12月号

 

本年6月以降、中国の水際対策が緩和されたのは既往JPマイツ通信2022年8月号[i]の通りですが、11月に入り、再度、水際対策を含む行動制限が中央政府レベルの規定で緩和されています。一方で、中国国内では感染が急拡大しており、局地的なロックダウンの実施に加えて、地方レベルでの規制や管理の強化が散見されます。

日中の往来にかかる制限の長期化や今年6月以降の中国の水際対策の緩和を受けて、昨今、少しずつ日本本社の出張対応も増えつつありますが、中国国内は感染の拡大下にあり、隔離措置や行動制限、規制の適時把握が重要です。本稿では、直近の中国の水際対策や行動制限を説明します1123日時点の情報に基づきます)

 

  1. 水際対策の再緩和

前月に新指導部体制[ii]となった中国共産党常務委員会が11月10日に開催され、聯防聯控機制綜発「2022」101号(以下“コロナ予防の最適化20条”と表記)[iii]が公布されました。コロナ予防の最適化20条では、“ダイナミック・ゼロコロナ(中国語:動態清零)”の堅持を表明する一方で、行動制限を含む水際対策は、下表の通り、変更されています。特徴として、経済社会活動への影響を低減すべく、これまでの中リスク地域での陽性検出率の低さ(10万分の3.1)を踏まえて高リスクと低リスク地域の2分類に、またリスク地域も(マンションの)棟単位などに範囲を限定しました。更に、オミクロン株の特性を踏まえ隔離期間を短縮し、入国時の水際対策を含む一段(但し若干)の緩和が図られました。

これにより、入国時の隔離措置期間の10日(73)から8日(53)へと2日間短縮されると共に入国時の搭乗48時間前でのPCR検査と同陰性証明書の取得が2回から1に簡素化されています。

  1. 現在の感染の再拡大下での地方レベルでの規制

右グラフの通り、中国国内の感染状況は10月下旬以降に徐々に増加し、11月に入り再度、急拡大しています。これに伴い、各地で局所的なロックダウンが実施されている状況です。

 

現状、広東省の感染者数が最多を記録[iv]していますが、11月21日に北京市人民政府も“北京市は新型コロナウィルスの発生以来、最も複雑で最も厳しい予防コントロール状況に直面している”[v]旨の発言をしています。

また、上海市でもコロナ予防の最適化20条と上海市内の感染の急拡大を受けて、上海市への来訪者、帰還者に対して健康管理の強化策[vi]を打出し、下記の通り、外地(海外を含む)からの流入者に対し、厳格な措置を求めています。

■上海市への来訪者、帰還者

✔上海到着前に随申弁“来訪者/帰還者サービス”を通じた、詳細な関連情報の正確な申告

✔(来訪者、帰還者の)全員に対する、上海到着時に到着地でのPCR検査の受診

⇒上海到着後24時間以内にPCR検査の要求に従わない場合は“随申コード”が黄色に(原則、外出不可)

✔上海到着直後 (12時間以内)、居住者委員会と企業(又は滞在ホテル)に報告、3日間に3回PCR検査

7日間の自主健康観測と、当該期間は会食や集会は不可、密集場所に行かない(外出時にはマスク着用)

■上海到着前7日間以内に国内の高リスク地区に滞在していた来訪者/帰還者

7日間の在宅隔離を実施し(当該隔離期間の「随申コード」は赤色に(隔離措置期間)

外出を禁止し、かつ、到着後の1357日目にそれぞれ1回のPCR検査を受診

11/24以降、到着後5日未満は(レストラン、モールほか)各種公共場所も立入り禁止5日目のPCR検査陰性が解除条件)[vii]

(尚、上記の“随申コード”とは、所謂、上海市の健康観察コード[viii]であり、携帯アプリからダウンロードします。)

 

  1. 留意事項

入国時の隔離期間の8日間への短縮は朗報ですが、上述の通り、中国国内では感染の急拡大を受けて、上海市のような移動制限の強化、局所的なロックダウンが各地で既に見られます。既往JPマイツ通信の通り、健康コード(携帯APP)に緑色(陰性)が表示されなければ外出できず、もし外出先で同コードが(緑から)変化すれば行動制限が掛かる状況に変わりなく、また現況下では滞在地が突然高リスク地域に指定されるリスクもあり得ます。

一方、依然として、ゼロコロナ政策の解除時期は予測不能であり、今回、水際対策が若干緩和されたものの、目下の感染状況の拡大を鑑みれば不要不急の出張や移動を回避し、もし複数拠点を移動する場合は各省・直轄地の健康コードを事前ダウンロード・入力して入力項目に不明点があれば滞在予定先に事前確認する、また高リスク地域はWEBでも手軽に確認できます[ix]ので渡航直前まで適時に確認し、状況の変化に応じて臨機応変に予定を変更するなど、最新情報の入手に留意しつつ、慎重な行動が求められます。

 

[i] 過去の経緯はマイツグループのニューズレターを参照のこと。URL:ニューズレター アーカイブ| 株式会社マイツ (myts.co.jp)

[ii] 共産党大会及び新体制に関しては、JPマイツ通信2022年11月号を参照のこと。

[iii] 原文は右記URLの通り。URL:关于进一步优化新冠肺炎疫情防控措施 科学精准做好防控工作的通知_健康中国_中国网 (china.com.cn)

[iv] 中国全土の感染状況にかかる公式発表は右記URLを参照のこと。URL: 新型冠状病毒肺炎疫情防控_宣传司 (nhc.gov.cn)

[v] 同プレスカンファレンスの詳細は右記URLの通り。URL:新京报 – 好新闻,无止境 (bjnews.com.cn)

[vi] 原文は右記URLの通り。URL:我市进一步加强来沪返沪人员健康管理 (shanghai.gov.cn)

[vii] 原文は右記URLの通り。URL:上海进一步加强来沪返沪人员健康管理 抵沪不满5天不得进入公共场所 (shanghai.gov.cn)

[viii] 健康観察コードの詳細は、JPマイツ通信2022年8月号を参照のこと。

[ix] 右記URLは中国全土の高リスク地域の照会が可能。URL:广州疫情风险等级查询_广州疫情风险等级划分-广州本地宝 (bendibao.com)

 

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