【2025年6月】あなたの会社、ボトムアップ型経営しています~??

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~会社と社員をともに成長させる方法はこれだ!!~

先月14日、米中それぞれが課していた輸入関税率を90日間115%下げる事に合意しました。アメリカは、クリスマス商戦用の玩具などに高関税が課せられて入荷できなくなると市民から不満が出ます。中国は、玩具材料となるプラスティックをアメリカから輸入しているので、この材料に中国が125%の関税を課ければ、輸入できず中国にも倒産企業が出ます。  そこで、双方が90日間の関税戦争の停止に合意したものと考えています。

90日間で関税の個別問題、非関税障壁について合意に至るにはかなり厳しいかと思いますが、世界の2大経済大国として大局観をもって合意を目指して欲しいですね。


さて、今月は家電量販店の株式会社ノジマの経営スタイルについて研究してみたいと思います。

株式会社ノジマは、1959年現社長野島廣司氏の父が「野島電気工業社」として創業しました。廣司社長が1973年に入社した当時は、売上高が5,000万円、赤字が2,000万円、借入金が2,500万円もある会社でした。しかし、2024年3月期の連結売上高は7,600億円、純利益は約200億円という優良企業に成長しています。因みに資本金は63億3千万円、従業員数は連結ベースで16,422名です。

株式会社ノジマの直近5年間の経営指標は次の通りです。

 

5期連結経営状況
(単位:億円)
項目 2020年3月 2021年3月 2022年3月 2023年3月 2024年3月
売上高 5,240 5,233 5,650 6,262 7,613
経常利益 241 361 535 557 575
売上高
経常利益率
4.6%   6.9% 9.4% 8.9% 7.6%
総資産 2,861 3,114 3,270 5,359 5,471
総資産
経常利益率
8.4% 11.6% 16.3% 10.4% 10.5%
総資産回転率 1.83回 1.68回 1.72回 1.17回 1.39回
自己資本比率 30.8% 36.4% 41.6% 28.1% 31.8%
コロナ下の2021年3月期は少し売上を落としましたが、投資効率を示す総資産経常利益率、その要因となる売上高経常利益率、総資産回転率は高い水準を保つ企業と言えます
2023年度、自己資本比率を落としているのは、事業戦略として、コネクシオとマネースクエアを買収した為と思われます。
野島廣司社長の経営は、トップダウンでなくボトムアップ経営で、1984年に従業員持株会を設立し、従業員持株比率4%は上場会社の中でもトップクラスとなっています。
社員の成長というと、「教育プログラムを作成し社員を教え込んで育てる」という教育が一般的ですが、ノジマでは社員にノルマを課したりはせず、成長のプロセスを重視し、「失敗をしながら自分で気づき、やがて成果を出していく」という育成型の社員教育をしています。
また、ノジマは企業の発展の為に、過去に30社程のM&Aを行っていますが(パソコン事業拡大の為、ソニーのパソコン事業バイオの買収は有名です)、ここでもユニークな考え方を取り入れています。

 

M&Aの要諦
1 デューデリジェンスは重視しない!!(偶発債務、簿外債務のみチェック)
2 シナジーを追求する!!中核事業への効果を測定して決定!!
3 被買収会社の独立性、継続性を基本とする!!
4 生え抜きの社員を起用する!!被買収会社の愛社精神のある社員を登用
5 ノジマの経営スタンスを理解する企業を買収する!!

組織運営に関してもノジマはユニークで、幹部にはなっていないが、愛社精神を持っている社員を適切に評価し、努力している社員を見捨てない組織を作っています。

組織作りのポイント
1 組織体制は柔軟に変更する:ピラミッド型組織とフラット型組織を状況に応じて変化させる
2 カオスを作る:企業買収により、ノジマは投資資金という負債を負う=社員一人一人が借金を背負う事になる➡社員も負債を負担する事で団結力、良いアイデアが出てくる
3 人の目利き力をつける:失敗をしても、損失を取り戻そうとする社員を作り出す
4 自分を見つめ直す為である事を理解させ、先に降格人事を発表する

そして、ノジマは社員一人一人にコンサルティング思考を定着させる事にも努力しています。その一つが、他の電気量販店は、仕入先の社員に店舗のセールスを業務委託していますが、ノジマはプロパーの社員が対応をしています。そして、お客様が本当に必要とする商品を購入して頂くとともに、更に話題を膨らませて営業を展開させる狙いがあると考えられます。