PDF版はこちら →ひろよしくんのみみ 2024年12月号
~ ニッチに生きる経営戦略はこれだ!! ~
アメリカ大統領選ではトランプ氏が4年ぶりに返り咲き!!また、上院、下院も共和党が勝利し過半数を獲得したため、トリプルレッドが成立!!
トランプ氏が上程する審議が上院、下院共に可決し易くなったことから、世界各国は戦々恐々!!世界の分断が更に進むのか?それともディールによって纏め上げて行くのか注目しています。
さて、京都の町工場から大きく成長した企業と言うと、皆さんは故稲盛和夫氏が創立した京セラや、永守重信氏が創立したニデックを思い浮かべると思いますが、実はもう一社あります。それは「おもしろおかしく」を社是にし、研究開発型企業としてニッチな分野で世界を席巻している、故堀場雅夫氏が創立した株式会社堀場製作所です!
堀場製作所は、ニッチ分野を重点的に開拓!!特に自動車の排ガス分析装置は世界シェアーの8割を奪取。売上高海外比率は76%、従業員の外国人比率は64%に達するグローバル企業です。2002年7月に上海市嘉定区に会社を設立された際に、開業式に出席させて頂いた事を思い出します。
堀場製作所の歴史
年 度
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項 目 |
1945年10月 | 「堀場無線研究所」を創業 |
1950年3月 | 国産初のガラス電極式pHメータを完成 |
1953年1月 | 株式会社堀場製作所を設立 |
1964年 | 自動車排ガス測定器「MEXA」を開発 |
1970年 | アメリカに「オリソン・ホリバ」を設立し、グローバル化の展開を開始 |
1971年3月 | 大阪・京都証券取引所に上場 |
1982年9月 | 東京・大阪両証券取引所第一部に株式上場(大阪は指定替え) |
1986年4月 | 上場企業初の一部週休3日制導入 |
2000年 | 半導体材料分野に進出 |
2020年11月 | 半導体・二次電池などの材料開発に成功 |
直近5期の経営比較
単位:百万円、%
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2019年12月
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2020年12月
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2021年12月
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2022年12月
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2023年12月
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売上高
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200,241 | 187,080 |
224,314
|
270,133
|
290,558
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経常利益
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20,518 | 19,399 | 32,038 |
46,860
|
48,251
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総資産
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315,133 | 328,068 | 371,585 | 416,742 |
449,030
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総資産
経常利益率
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6.5%
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5.9%
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8.6%
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11.2%
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10.7%
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売上高
経常利益率
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10.2%
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10.4%
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14.3%
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17.3%
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16.6%
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総資産回転率
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0.63回
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0.57回
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0.60回
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0.65回
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0.65回
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※総投資(総資産)に対するリターン(経常利益)が、直前2期で10%以上に急激に増加、売上高経常利益率も直前2期では15%超え。総資産の増加率(成長率)も直前3期で平均10%程度増加しているので、投資をかなり積極的に行っている事が分かります。
近年急成長している要因は、「堀場製作所」 = 「自動車関連計測装置の会社」と言われていましたが、「マスフローコントローラー」と呼ばれる半導体材料機器の製品化で大きく業績を伸ばしている点です。例えば23年度であれば、この部門の営業利益が405億円、全体の営業利益の86%を占めています。
この半導体事業を担う部門は株式会社堀場エステックですが、その成功要因は次の3つの成長投資を貫いた事にあります。
3つの成長投資の内容
1 |
堀場グループが苦しい時も、常に開発投資をトップ自ら先頭に立ち、事業を育てた事!!2009年、リーマンショックにより株式会社エステックが半導体不況で赤字に転落しても投資を継続
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2 |
安定した供給体制作りを常に確保する為、継続的に投資を実施
(マスフローコントローラーは、半導体製造に不可欠なため、製造装置メーカーは品質と同時に安定供給を求める。⇒熊本工場、京都本社工場に加え、京都府福知山に新工場を建設中)
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3 |
サポート体制を整備した事。マスフローコントローラーは、メーカーごとに仕様が異なるため、アメリカ、中国、韓国など各国に研究開発、生産、アフターケアが出来る一気通貫の体制を構築
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堀場製作所は、2000年から次の成長の柱と考えた半導体材料部門を愚直に開発し、漸く花開く時が来たと言えるのではないでしょうか!!