【2025年9月】法人株主の減資に関する税務規定

PDF版はこちら →大連通信 2025年9月号

 

新<会社法>における会社の減資は複雑な税務処理に関わります。以下の通り、主に法人株主の減資に関する税務規定を紹介します。

摘要 規定の詳細
税務処理の根拠
<国家税務総局による企業所得税の若干の問題に関する公告>(国家税務総局公告2011 年第34 号、以下「第34 号通達」とする)
第5 条では、「投資企業が被投資企業から撤退する又は投資を減少させる場合、その取得した資産のうち、初期投資に相当する部分については、投資回収として認識しなければならない。
被投資企業の累計未処分利益と累計利益剰余金に相当する部分については、減少する払込資本金の比率に応じて算出される部分を配当所得として認識しなければならない。
残りの部分は投資資産の譲渡所得として認識する」と規定されています。
税務処理の方法
法人株主の減資により取得する資産は3 つの部分に分けられます。税務上の処理は以下の通りです。
1つ目は初期投資の部分(払込出資金)で、投資の回収に該当し、企業所得税の納付は不要です。
2つ目は被投資企業の累計未処分利益と累計利益剰余金に対して減少する払込資本金の比率に応じて算出される部分で、配当所得に該当し、<中華人民共和国企業所得税法>(以下「<企業所得税法>」とする)第26 条の規定「企業の以下の収入は免税収入とする。(二)条件に合致する居住者企業間の配当、特別配当等の権益性投資収益」に基づくと、居住者企業の配当所得は、企業所得税が免除されます。
3つ目は投資企業が被投資企業から撤退する又はその投資を減少させる際に取得する資産から、上述の1つ目、2つ目を控除した後の残りの資産で、投資資産の譲渡所得に該当し、企業所得税を納付する必要があります。
法人株主減資の
税務上のリスク
<企業所得税法>第26 条では、「企業が取得する条件に合致する居住者企業間の配当、特別配当等の権益性投資収益は免税収入とする」と規定されています。
配当所得を計算する際、初期投資の部分の価値は相対的に固定され、法人株主は当然より多くの減資に係る取得資産を配当所得に算入させたいため、配当所得の認識を行う際、一部の企業はその減少した出資額が登録資本金に占める割合で配当所得を計算すべきだと考えます。
しかし、第34 号通達第5 条では、「投資企業が被投資企業から撤退する又は投資を減少させる場合、その取得した資産のうち、初期投資に相当する部分については、投資回収として認識しなければならない。
被投資企業の累計未処分利益と累計利益剰余金に相当する部分については、減少する払込資本金の比率に応じて算出される部分を配当所得として認識しなければならない。残りの部分は投資資産の譲渡所得として認識する」と明確に規定されているため、法人株主が出資を払い込んでいない部分に対応する累計未処分利益と累計利益剰余金は、配当所得を構成しません。
法人株主の減資により払込資本金が減少していない場合、配当所得がゼロになり、対応する収入については、法に基づいて税金を納めなければなりません。

マイツの提案:会社の減資において、税務リスクを回避するため、税法規定を遵守する必要があります。合規
性を確保すると共に減資案を合理的に策定し、税務コストを最適化することで、減資に係る処理の合法性と経
済性を確保することをお勧めします。