PDF版はこちら → 大連通信 2023年10月号
現在、非金融企業間における貸付金が多くなっています。一部の企業は企業間における貸付金に関係する課税の詳細を把握していないことにより、期限通りの納税ができず、税務リスクをもたらしたケースがあります。以下は調査案件を事例として非関連会社への無利息の貸付金の課税に関する詳細を紹介します。
案件事例 |
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A社のその他未収金、その他未払金に金額が比較的高い長期にわたって計上したままのものがある。税務人員の確認により、A社は銀行から借入金を得て当該資金を無償で他社(二社)に貸し付けており、当該二社はA社と関連会社ではなく、同じグループに属しないことが判明した。 | |
規定内容 |
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増値税 | 1 A社のように対外、資金の貸付サービスを提供した場合、販売とみなし処理しなければならない。
財税【2016】36号第十四条第二項 公益事業または社会大衆を対象者とする場合を除き、組織または個人事業主は他の組織または個人に無償でサービスを提供する場合、サービス、無形資産または不動産の販売とみなす。 財税【2016】36号 貸付行為は貸付サービスに該当し、増値税課税対象者になる。 2 A社のように実際、利息を受け取っていない場合の貸付サービスの売上高の確定について 財税【2016】36号第四十四条 納税者にてみなし販売が発生し対応する売上高がない場合、主管税務機関は関連規定で売上高を推定する権利を有する。通常、貸付サービスの場合、同期同種類貸付利率で判断する。 |
企業所得税 | 企業所得税法第八条 企業において実際に発生し、収入取得と関連があるコスト、費用、税金、損失とその他支出などの合理的支出は課税対象額計算時に控除することができる。第十条第八項 課税対象額計算時に以下の支出は控除してはならない。収入所得と無関係なその他の支出。
A社のように、銀行による借入金を無償で非関連会社または個人に貸し付け、自社の生産経営に利用していない場合、当該資金の銀行から借り入れたことで発生した利息は収入の取得に関係しないその他の支出に該当する。よって企業所得税法上損金不算入となる。 |
結論 |
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A社がグループ外の企業に無償で貸付サービスを提供したが、販売とみなし増値税課税の売上計上をしておらず、かつ銀行による借入金分の利息を企業所得税課税所得額計算時に控除した。その結果、増値税、企業所得税など税金の過少納付の税務リスクをもたらした。 |
提示
1.グループ内の企業間における無償貸付、借入は2023年12月31日までは増値税免除の無償貸付、借入に該当します。(財政部税務総局公告2021年6号、財税【2019】20号)
2.必要のない税務リスクを避けるため、企業が非関連会社に無償で貸し付けた場合、関係する課税詳細を把握し、かつ法規に従い適時に税務処理を行うようお勧めします。
より多くの情報を必要とされる方は、大連マイツまでお問い合わせください。
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