PDF版はこちら → 大連通信 2022年4月号
企業所得税法上、今まではオペレーティングリースとファイナンスリースに対して異なる政策が取られていました。新リース準則では、オペレーティングリースとファイナンスリースの区分が無くなり、オペレーティングリースの場合の税務・会計差異に大きな変化が発生しました。税務リスクを防ぐため、留意する必要があります。
(一)借手の会計処理
新リース準則では、借手側はオペレーティングリースとファイナンスリースを区分せずに、統一の測定モデルを採用し、短期リースと少額資産リース以外の全てのリースについて、現在価値により使用権資産とリース負債を計上すると共に、減価償却費と利息費用を計上すべきです。
以下の会計処理は、税金、初期費用等の要素による影響を考慮していません。
(1)認識時の測定
借:使用権資産(未払のリース支払額の現在価値)
リース負債:未認識融資費用(リース支払額と使用権資産の差額)
貸:リース負債:リース支払額(未払のリース支払額)
(2)初期認識後の測定
A:リース負債の利息認識
借:財務費用:利息費用
貸:リース負債:未認識融資費用
B:リース料の支払
借:リース負債:リース支払額
貸:銀行預金
C:使用権資産の減価償却
借:管理費用(製造費用、営業原価等):使用権資産の減価償却
貸:使用権資産の減価償却累計額
(二)借手の税務処理
<企業所得税法実施条例>第47条 オペレーティングリース方式により賃借した固定資産のリース費用は、リース期間に基づいて均等に控除する。
説明:オペレーティングリースに関する会計処理の変化に伴い、税務と会計の差異が大きくなりました。税法上、使用権資産の概念が無いため、オペレーティングリースの借手としては、リース期間に基づいて毎月のリース料支出を均等に控除する必要があります。使用権資産の減価償却費と利息費用は企業所得税法上損金不算入となり、課税所得額への加算調整が必要です。リース料支出については減算調整する必要があります。オペレーティングリース業務のある企業は、2021年度企業所得税の確定申告時に上述の内容をご留意ください。
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