【2026年3月】「離職ゼロ」を実現する自営型人事

 

「離職ゼロ」を実現する自営型人事

 

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弊グループ(株式会社マイツと上海マイツ蘭璽)でも普及に協力させてもらっている「自営型人事」について、提唱者である同志社大学の太田肇名誉教授が待望の新刊を出版されました。タイトルは『離職ゼロ。「自営型社員」が会社を変える! 』です。

最近、中国でも日本でも、事業成長に必要な優秀人材がなかなか採用できない、というお声をよくお聞きします。また、自社の優秀人材が、競合他社に引き抜かれてしまうという事態も同じく、数多く発生しているようです。日本企業、日系企業の給与水準が、欧米や中国資本大手に比べ、かなり見劣りするということも原因のひとつですが、それだけが理由ではありません。

こうした「優秀人材」にとっては、日本企業の特徴である「安定」や「教育の充実」などは残念ながらあまり響きません(「現状維持」を望む人材には響きます!)。一方、「意思決定の遅さ」や「権限の乏しさ」「事細かな報告要求」などは、正直、うんざりする欠陥に感じられています。しかも会社側は多くの場合、これを欠陥として捉えておらず、「当然のこと」のように考える中間〜上級管理職が大勢いることにもうんざりしているようです。

結果、日本企業に勤務する人材におけるワークエンゲージメントは世界最低水準、併せて競争力も落ちていく一方です。本来、日本人や日本企業のDNAは、そんな風に「みんなでズルズルと悪くなっていく状況を看過する」ものだったのでしょうか?太田教授は明確に「No!」と言い切られます。

ニッポンの人事制度は「メンバーシップ型」で硬直的と言われていますが、もともと「仕事の境目を明確に定めず、成果に向かって皆で協力する仕組み」であり、これ自体は、
・責任がどこにあるか分からず、誰も新たな行動をしない、変えようとしない
という状況を是としていません。平成・令和のほんの一時期を除けば、日本企業、日本人のDNAには、
・皆で力を合わせて、全力で成功を目指す
という行動様式が元来、備わっているはずなのです。

働き方改革と称して、「ジョブ型」に変えようという動きがありますが、完全に時代に逆行しています。専門性の高い人材のJOBを特定し、彼らに高い処遇を与えたところで、その専門家たちが協力し合わず、自分の「Job Scription」に書かれている以外の行動をしない、ということになれば、大きな成果が得られることもなく、イノベーションも起こりにくいでしょう(むしろメンバーシップ型より悪くなっていきます)。

中国人はどうでしょうか?日本人以上に「人的繋がり」を重視し、また自己責任と判断で自らの業務を全うしようとする姿は、ややもすると「報告もしないで勝手に走る」ように思われがちです。しかし、グローバル競争が激しくなっている現在、言われたことだけを粛々と進めるような人材が集まっても、到底競合に勝つことはできないでしょう。例えば世界でAI開発をリードしている人材は、8割が中華系と言われていますが、その力を日系企業は引き出せているのでしょうか。

現実に今、世界中で成果を出している人材は、ジョブ型の働き方などしていません。もちろんメンバーシップ型でもありません。太田教授が「自営型」と名付けた、自分の権限において物事を動かすことのできる働き方をしています。そして「自営型」は、雇用形態という観点ではジョブ型よりもメンバーシップ型にむしろ近い。太田教授はこれを「融通無碍に組み合わさった石垣スタイル」と形容しています。

詳細は教授の著書を是非ご確認いただきたいと思いますが、これからますます速く、激しい変化が続くと思われる経営環境下で、真の競争力を獲得したい企業様には、是非、部分的にでも「自営型」を取り入れていただきたいと思います。