【2018年12月】『企業会計準則第14号ー収入』の改定

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1、最近の動向

今年もいよいよ予備監査が始まり、マイツの監査部門は慌ただしくなってきました。最近よくお問い合わせをいただくのが、日本で改訂された企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」に関するものです。改訂により、日本における収益認識に関して大きな変化が生まれたため、連結の関係上、中国の現地子会社にはどのような影響が生じるのかを教えて欲しいというご質問をいただきます。

中国における収益認識に関しては、中国財政部が201775日付で「『企業会計準則第14号‐収入』の改定発行に関する通知」(財会[2017]22)を発布し、201811日から施行されています。

 

2、実際の施行スケジュール

201811日開始事業年度から 海外上場企業に適用

202011日開始事業年度から 国内上場企業に適用

202111日開始事業年度から 非上場企業(中国の現地子会社)に適用

 従いまして、中国の現地子会社が影響を受けるのは、少し先の話になるのですが、連結対象となっている場合は状況が異なってきます。詳しくは、この先の項目で説明いたします。

 

3、改定の内容

日本での改定と同じように「国際財務報告基準第15号‐顧客との契約から生じる収入」(以下、IFRS15号と称する)に準拠しての改定となっています。具体的には、以下の5つのステップで支配の移転の枠組みを構築し、収益認識を行います

①契約の識別

②契約に含まれる履行義務の識別

③取引価格の決定

④取引価格の各履行義務への配賦

⑤履行義務の充足

 

4IFRSでの親会社への報告

中国の現地子会社の規模が大きく、親会社にとって重要な構成単位となっている場合や、日本基準での財務報告ができない場合、一般的にはIFRSでの財務報告が求められます。IFRS15号は2014年度から公表・適用されているため、すでにIFRSでのクリアランスや監査報告書を親会社に提出している場合、新しい収益認識をもとに財務諸表が作成されています。そのため、本来は改めて収益認識を考え直す作業は不要ですが、皆様の中国の現地子会社はきちんと対応できていますでしょうか。この機会に改めて確認されることをお勧めいたします。

 

5、工事進行基準(完工百分比法)の適用 

今回の改定に合わせて、工事進行基準の適用に関するお問い合わせも多く来ています。従来「企業会計準則第15号‐建設契約」の会計準則がありましたが、こちらはIFRS15号に合わせて、「企業会計準則第14号‐収入」に吸収されてしまいました。建設契約も含めた契約という概念に集約されたと考えられます。工事進行基準を適用していくかどうかについては、担当会計士とよくご相談のうえで進めていくことが肝要となります。