[2015年6月]コラム第4回 中小企業で果たすべきCFO業務

 コラム_タイトル用.png2015.06.01

 



営業企画部  片瀬陽平

 

 

コラム第4回目

 

 

前回の執筆においてCFOに求められる機能とセンス(未経験の駐在員がCFO機能を担
えるのは個人のセンスの問題)のギャップがブラックボックスと記載いたしました
が、中小企業における海外駐在員の本業はあくまでも営業活動であり、そもそも矛盾
(駐在員についても、もちろんCFO機能を持つべきであるが、求められるのは営業機
能)が生じているのです。

 

また、以下の点を親会社がトップダウンで解決すべき課題としましたが漠然としてい
るために少し、詳細に記載いたします。

 

【親会社が解決すべき課題】
①“5年の中期事業計画をリスクを含めて作成し”、この部分のリスクとは何か?

②“1年の事業活動後に決算書と予算の比較(予実分析)”、この部分の予実分析の
  ポイントとは何か?

 

①は子会社の事業成功要因に関連し、②は業績評価基準に関連します。
まずはトップダウンでこの事業成功要因および業績評価要因を固め、達成できない可
能性の検証および達成できなかった原因の検証を行うのです。

 

それでは事業成功要因とは何か?業績評価基準とは何か?を解説します。

 

事業成功要因は、以下の要因等をさし、
①売上高を伸ばす
②コスト削減を達成する
③利益を伸ばす
④マーケットシェアの獲得
⑤生産性を伸ばす
⑥ブランディング

 

業績評価基準は以下の指標等を指します。
①売上高達成率,売上高増加率
②間接費対前年比
③売上利益率,ROA
④市場占有率
⑤生産性対前年比
⑥アンケート評価,クレーム件数

 

中期事業計画の定量評価については、事業成功要因を業績評価基準と紐付けて考える
こととなります。売上高を伸ばす(事業成功要因)⇒毎年売上高を15%伸ばす(事業
目標)⇒売上高増加率(業績評価基準)とこのように紐付けることとなります。思考
回路としては、事業成功要因に関連する外的要因及び内的要因(グループとしての
SWOT分析やプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント分析など)を分析し、それ
を測る指標として業績評価基準を設定することになります。
そのために中小企業では、この業績評価基準の設定までをトップダウンで行い、現地
子会社の責任者になる駐在員はそれを達成する機能のみを与える(または、実績との
差異分析の機能までなど)ことを多くの会社が行っています。

 

ただし、進出したばかりの中小企業にて事業成功要因から業績評価基準を正しく導き
出す
ことは難しく、多くの企業はトライ&エラーで事業計画や予算を修正しながらなん
とか切り抜けている現状があります。そのために中小企業では事業計画の策定よりも
差異分析に力を入れ、なぜ計画通り進まなかったのか?ということに力を入れる事こ
そが重要となります。

 

次回の記事では、実際の事業計画との差異分析の入り口をお話しします(ROA分析な
ど)。
中小企業はこの分析及び事業計画(予算)のロールが非常に重要であると認識してい
ただけ
れば幸いです。

 

それでは次回をお楽しみに!!