中国においては、租税徴収について年々運用が厳格になっているかと存じます。先月蘇州の一部地域では、地方税務局より多くの企業に個人所得税について通知が出され、企業向け、会計士事務所及び税理士事務所向けに説明会が開催され、源泉徴収について漏れが無いかどうか自己調査の上、不足分を納付するように求められました。
個人所得税については、現地給与、日本支給給与、各種手当等、名目の如何を問わず原則課税となります。但し、外国籍従業員の手当、福利の一部など、税法及び関連通達で非課税扱いとなるものもあります。今回は各種手当、福利のうち、指摘のあったもの、誤解されやすいものについて取り上げます。
? 住宅手当
外国籍従業員の借上げ社宅や実費精算方式による住宅手当は非課税です(国税発[1997]054号1条)。但し、中国籍従業員の借上げ社宅や住宅手当は課税対象としなければなりません。
? 駐在員の生活に関する各種手当
外国籍従業員の社宅の水道代、電気代等について実費精算方式で会社負担としているケースで、課税対象とするように指摘がありました。同様に社宅のインターネット代、日本テレビ代、家政サービス代も課税対象となります。但し実務上はこれらを家賃に含めて契約している場合は課税対象としなくても大丈夫な様です。例外的に実費精算されるクリーニング代は非課税です(国税発[1997]054号1条)。
? 出張手当
外国籍従業員が合理的標準(上限1日100元程度と解される)で受け取る出張手当は非課税となります(国税発[1997]054号3条)。但し、中国籍従業員に出張手当を支給して非課税としているケースが散見されますが、課税対象としなければなりません。
? 月餅、記念品、忘年会景品、プリペイトカード、紅包
会社から支給されたこれらの福利品を全て課税対象とするように指摘がありました。商品券ではなく、月餅そのものを配った場合も課税対象とのことです。
? 携帯電話代
営業担当者等の携帯電話代を会社が負担する場合、業務使用分と私用分に分け、私用分については課税対象とするように指摘がありました。また、分けられない場合は全額課税対象とのことです。
いかがでしょうか。いささか厳しすぎる、細かすぎるという印象を受けますし、上記項目を全て課税対象として源泉徴収していた会社様の方が却って少ないのではと思います。
地域によって温度差はありますし、現状指摘を受けていない場合はどこまで自主的に課税対象とするかについては各会社様の判断になるかと存じます。各地域とも今後はますます厳格な運用になっていくと予想されますので、自社の現状の取り扱いや将来のリスクについてはご留意ください。