【2024年12月(増刊号)】外国人工作許可証と社会保障カードの統合について

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中国現地法人等へ駐在される方の工作許可証申請プラットフォームである「外国人来華工作管理服務システム」は、人力資源及び社会保障部の「全国人力資源社会保障部政務サービスプラットフォーム」内へ移管されました。上海市人力及び資源社会保障局からの正式発表は本日(11月29日正午)時点でありませんが、「外国人来華工作管理服務システム」上において、工作許可証と社会保障カードの統合に関わるシステム更新(期間:2024年11月29日-12月1日)は既に通知され、また11月27日の政策質疑応答においても、統合について具体的な説明がなされているため、12月1日以降において工作許可証と社会保障カードの統合が行われる予定です。

【統合に関わる主要内容】
・2024年12月1日から、外国人工作許可証と社会保障カードは統合され、今後、外国人の工作許可情報を社会保障カードに組み入れる。

・外国人工作許可を新規申請、延期、変更、取り消しを行う場合には、外国人来華工作管理服務システムにて行い、外国人工作許可証(カード)は発行しない(抹消証明は発行)。

・外国人工作許可証(カード)を既に受領している場合、工作許可の延期もしくは変更申請は、工作許可証と社会保障カードの統合後の新しい手続に基づいて処理する。

・外国人は中国へ入国した後、スマートフォンで電子社会保障カードアプリをダウンロードし、氏名、工作許可番号もしくは社会保障番号等の情報を使用し登録、実名・本人認証を経た後、工作許可情報が組み入れられた電子社会保障カードを受け取ることができる。

 

【新規赴任、新規申請の方】

電子社会保障カードアプリに工作許可データが表示されます。

 

【工作許可証、社会保障カードを保有しておられる方(中国社会保険に加入済みの方)】

当局へのヒアリングでは、電子社会保障カードアプリへの任意の事後登録が可能とされていますが、上海市においては、中国社会保険加入時に漢字氏名での登録を要求された期間があるため、登録時の氏名が漢字表記の方(社会保障カード・裏面に表示あり)については、別途、登録氏名表記の変更等が必要となる可能性があります(工作許可はアルファベット氏名登録、漢字氏名は任意登録)。また、電子社会保障カードアプリを使用するWeChatやAlipayへの登録氏名との一致についても、今後留意が必要です。

 

【工作許可証のみ保有しておられる方(中国社会保険に未加入の方)】

工作許可更新時等において、電子社会保障カードアプリへの変更が必要になります(中国社会保険加入との関連は下記参照)。

 

【中国社会保険へ加入の影響】
【中国(上海市)における社会保険加入に関わる経緯】

201171日施行:中華人民共和国社会保険法
2011年10月15日施行:中国国内で就業する外国人の社会保険参加暫定弁法
201991日発行:日中社会保障協定
対象:日本からの派遣者で日本の厚生年金保険、国民年金保険に加入している方
※中国養老保険部分が免除対象
※日本国籍者でも中国現地採用者、中国で自営業をしている方は適用外
※有効期間は最長5年。期限到来前に適用証明の再取得(延長を申請)
2021年8月21日:上海市「滬人社養発「2009」38号、滬人社法「2016」301号」の期限到来
現在も細則は発表されないものの、当該規定の未延長により、外国籍者の加入が必要になったと理解されている
202312:社会保険料月次申告先が税務局に一元化(加入手続は社会保険センター)
→個人別の加入状況について、税務局システムで確認可能となる
開始時期 2023年12月(2024年1月申告):上海、安徽省、福建省など
2024年12月1日:工作許可証の社会保障カード(電子社会保障カードアプリ)への統合

 

【工作許可証の社会保障カードへの統合による影響】

政策質疑応答において、中国で勤務する外国人が社会保障カードを取得する目的は、工作許可情報をダウンロードするためであり、外国人は中国社会保険に加入後において、社会保障番号を取得できる(中国社会保険未加入の場合は、社会保障番号を取得できない)とされ、また、現行の外国人社会保険加入の関連規定は変わらないため、今回の統合後においても、具体的な手続は管轄の社会保障部門の要求に従って実行する必要があるとの回答となっています。

2023年以降、社会保険料についても税務局による一元管理が進んでおり、工作許可及び居留許可を有する外国人については、速やかな中国社会保険加入が望ましいと考えられます。

【中国社会保険加入済みの方への影響】

 帰任時において、中国社会保険料の納付は中止しつつも、工作許可・居留許可(離職日から10以内)の抹消を行わないケースがありますが、中国社会保険と工作許可情報が連動することとなるため、今後は、各部門への適正な関連手続を行う必要性が高まります。