今回は、前回にもお話しました競業避止義務について取り上げます。
競業避止義務とは、秘密保持義務を負う従業員に対し、労働契約、秘密保持協議の中で競業制限条項を約定し、退職後に競業他社への就職を禁ずることをいいます。
従業員が退職した後、自社のライバル企業に転職されては困る、というわけで中国の労働者の転職の多さに頭を悩ませている方も多いはず。
競業避止義務には下記の要件があります。
競業避止義務において、重要な要件がもうひとつあります。
それは労働契約を解除、終止した後、競業制限期間に毎月従業員に経済補償金を支払うことを約定することです。
競業避止義務における注意点はこの補償金となります。
上海においては、この補償金について補償金の約定がなくとも競業避止制限は有効だと認めていますが、補 償金について協議するべきとしています。しかしながら補償金を約定していない場合においても競業制限が無効になることはありません。
労働者は実際に競業避止義務を履行した場合、企業に対して労働契約の解除、終止前12カ月の平均賃金の30%を月ごとに補償金として支払うことを要求することができます。
※補償金の額が履行地の最低賃金基準より低い場合、最低賃金基準により支払う。
また、企業には法により一方的に任意解除する権利がありますが、労働者は3カ月分の競業避止補償金を別途支払うことを要求できます。